2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K17912
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
岩崎 成仁 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (80808006)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | Th2細胞 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
IgE抗体により誘導されるⅠ型過敏症反応(即時型反応)は、アレルギー疾患の症状発現において重要な役割を担っている。肥満細胞上のIgE受容体を介して、IgE抗体が抗原と架橋されることによりヒスタミンが放出され、くしゃみ、水様性鼻漏などの即時型反応が誘導される。一方、一般臨床においては、IgE非依存性に鼻炎症状を呈する症例が存在する。我々はIgEー肥満細胞経路以外に鼻炎症状を誘導する因子として、抗原特異的Th2細胞の役割に焦点をあてて解析してきた。マウスモデルを用いた研究から、Th2細胞とマクロファージにより誘導される鼻炎症状の存在を明らかとした。初年度の研究では、in vitro共培養モデルにより、Th2細胞とマクロファージによる新規ヒスタミン産生機構の存在を同定することができた。これはこれまで報告のない新規現象と考えられた。さらに、生体内におけるTh2細胞とマクロファージの役割を検討するために、抗原特異的記憶Th2細胞移入マウスモデルを樹立した。このモデルでは、移入記憶Th2細胞の作用により、抗原特異的な即時型反応が誘導されることを同定した。さらに、フローサイトメトリーにより鼻粘膜細胞を解析することで、移入した記憶Th2細胞と、その結果誘導される好酸球の浸潤を確認することができた。種々の条件で実験をすすめ、記憶Th2細胞の即時型反応誘導における役割と鼻粘膜への浸潤に関与する因子を同定している。また、ヒスタミンを産生することができないヒスタミン合成酵素欠損マウスや今後の研究に必要な試薬を入手し、次年度へ向けた調整も完了した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitroにおけるマクロファージと抗原特異的Th2細胞の共培養モデルを確立することに成功し、このモデルを用いて順調に解析がすすんでいる。さらに、以前、申請者が作製した抗原特異的Th2細胞移入マウスモデルを改変したモデルを当研究において使用し、鼻炎症状におけるマクロファージとTh2細胞の役割も解析している。これらのことから、本研究は概ね順調に進展していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
抗原特異的記憶Th2細胞移入マウスモデルを用いた実験では、抗原特異的Th2細胞とマクロファージを介する新規即時型反応(くしゃみ)を誘導することが可能である。一方、この詳細な機序については不明な点が多く、さらに研究が必要である。過去に報告のない新規現象であり、これまでとは異なった分子に着目して解析する予定である。Th2細胞とマクロファージのin vitro共培養モデル、抗原特異的記憶Th2細胞移入マウスモデルの関連についても次年度に解析を進める予定である。
|