2019 Fiscal Year Research-status Report
膠原病における寛解導入療法中のサイトメガロウイルス再活性化に関する前方視的研究
Project/Area Number |
19K17915
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
太田 裕一朗 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (80773051)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 膠原病 / サイトメガロウイルス / 再活性化 / サイトメガロウイルス抗原血症 |
Outline of Annual Research Achievements |
膠原病に対してプレドニゾロン(PSL) 0.5mg/kg/日以上を含めた寛解導入療法を行う189症例を前向きにエントリーし、データ欠損のない157症例を解析した。 CMV-IgGが陰性であった21症例では毎週の経時的なCMV抗原血症のモニタリングで再活性化は見られず、当初の推察通りCMV未感染症例はCMV再活性化のリスクが極めて低く、抗原血症のモニタリングは不要と思われた。 CMV-IgGが陽性であった136症例のうち、52症例では毎週の経時的なCMV抗原血症のモニタリングにより再活性化が見られた。この52症例の患者背景を再活性化を来たさなかった84症例と比較すると、糖尿病既往(P=0.030)、悪性腫瘍既往(P=0.019)の頻度が有意に多く、血清総蛋白(P=0.048)が有意に低値であった。また、寛解導入療法の内容は、CMV再活性化が見られた52症例において、再活性化が見られなかった84症例と比較して、初期PSL投与量(mg/kg/日)(P=0.006)が有意に高く、ステロイドパルス療法(P=0.004)、IVCY(P=0.001)の頻度が有意に多かった。ROC曲線により、血清総蛋白のカットオフは6.45g/dl未満(感度59.6%, 特異度66.7%)、初期PSL投与量のカットオフは0.911mg/kg/日超(感度86.5%, 特異度45.2%)が最適であった。これらの因子による多変量解析を行うと、糖尿病既往(P=0.009)、悪性腫瘍既往(P=0.027)、初期PSL投与量>0.911mg/kg/日(P=0.001)、IVCY(P=0.004)がそれぞれCMV再活性化に対する独立したリスク因子であることが判明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
症例登録は順調に経過している。臨床情報に対する統計解析を施行中である。探索的項目については血清が保存できた症例において、CMV中和抗体に関する解析を開始できている。概ね順調な進展と考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
得られた臨床情報に対する統計学的な解析を詳細に行う方針である。保存できた患者血清中のCMV中和抗体の存在を特定するために、CMVの各表面抗原に対する抗体検出系を確立するべく、条件検討を行っている。 CMV特異的なCD4,CD8を検出するためにテトラマーを用いたフローサイトメトリー法を検討しているが、テトラマーは保存された血球では十分に機能しないことが判明したため、新たな患者コホートを立ち上げる必要がある。しかし、COVID-19が落ち着くまでは新規のエントリーが滞ることが予想され、年単位での対応を検討している。
|
Causes of Carryover |
研究に必要な研究資材などを購入するのには残金では購入が出来ず、2020年度の研究費と合算して使用する方が合理的と判断したため。直接経費のうち物品費に充当する予定である。
|