2020 Fiscal Year Research-status Report
遺伝性血管性浮腫におけるブラジキニン分解酵素活性の解析により病態解明を目指す研究
Project/Area Number |
19K17917
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
本田 大介 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (50790094)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 遺伝性血管性浮腫 / C1インアクチベーター / ブラジキニン / ブラジキニン分解酵素 / 酵素活性 / 急性発作 |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝性血管性浮腫I型・II型は、常染色体優性遺伝性疾患であり、約5万人に1人の有病率の希少疾患かつ難病である。遺伝的にC1インアクチベーター欠損(I型)あるいは機能不全(II型)によって、発作性に血管透析性メディエーターであるブラジキニンが過剰産生され、血管性浮腫がもたらされる。発作が、気道浮腫の場合は窒息により致死的となり、腸管浮腫の場合は激烈な腹痛をもたらす。他の部位の発作においても日常生活に支障をきたすことが多く、患者の生活の質を維持するためにも早期診断と早期治療が重要である。しかし、実際には国際的にも疾患認知度の低さや病態解明の不完全さを背景として診断率が著しく低いという大きな問題が存在する。これまでに本疾患は、同一の遺伝子異常を有する家族内でも異なる臨床症状を呈することがわかっているため、病因となる遺伝子変異以外の要因も病態形成に関与していることが考えられ、我々は血管性浮腫をもたらすブラジキニンそのものの動態に注目している。しかし、ブラジキニンは体内で産生後わずか数十秒でブラジキニン分解酵素群により分解されるため、ブラジキニンそのものを測定することは一般的には難しい状態である。そこで、ブラジキニン分解酵素群に注目し、酵素活性を測定することでブラジキニンの血行動態や、発作の出現・消退などの病態に関する全容解明することを目的とした。これまでに、浮腫発作時(急性発作治療のために来院)あるいは非発作時(定期外来受診時)の患者検体を用いて予備実験を施行しており、実験の工程や正確性は証明され、さらには発作出現部位によって一部のブラジキニン分解酵素活性の変動が認められており、病態解明に向けた良好な測定結果が得られており、今後も患者検体を用いて、同様の測定を継続し、統計学的評価を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
実験系は確立され、予備実験からも良好な結果が得られている。しかし、実験遂行においては患者検体を用いて行うが、2020年からの社会におけるコロナウイルス感染蔓延による患者の受診控えがあり、検体を採取する機会となる受診が減少しているため、目標とする検体数に達していない状況である。より正確なデータを得るためには患者検体の確保が重要であるが、予期しない状況となっており、今後も患者検体の採取に取り組んでいく。
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Strategy for Future Research Activity |
ある程度の患者検体が採取された時点で、これまで施行した予備実験の方法を用いて解析を行う予定である。患者検体によるデータの蓄積を進め、データ解析し、論文化を進める。
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Causes of Carryover |
社会におけるコロナウイルス感染蔓延により患者の受診控えが生じ、実験を進めるうえでの要である患者検体の採取において、当初の予定より遅延を認めたため。今後は、ある程度の検体数を確保できた際に、必要な試薬や薬液を購入し、実験を滞りなく遂行する。
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