2022 Fiscal Year Annual Research Report
B細胞制御機構と自己免疫疾患発症におけるヒストン脱メチル化酵素UTXの役割
Project/Area Number |
19K17918
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
世良 康如 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (40836532)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | UTX / B-1細胞 / 辺縁帯B細胞 / エピジェネティクス / 自己免疫疾患 / B細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
UTXの先天的な機能欠失が原因である歌舞伎症候群の患者には高頻度に自己免疫疾患が認められることから、UTXは免疫系維持に重要な役割を担うことが推察されるが、B細胞におけるその機能はいまだ明らかでない。これまでにB細胞特異的UTX欠失マウスでは、自己免疫疾患への関与が示唆されている脾臓辺縁帯B細胞やB-1細胞に増加や異常といった表現型を認めており、異常の一部は加齢に伴い亢進した。これらのUTX欠失における表現型の分子基盤を明らかとするため、UTXの相互作用候補の同定を試みた。RNAseqの結果と欠失マウスのB細胞における表現型から相互作用候補としてSPI1に着目し、免疫沈降法などの方法で相互作用の検討を行ったがUTXとの相互作用はこれまでに認められていない。そこでUTXと結合するエピジェネティック因子を無細胞合成系を用いた網羅的なスクリーニングで同定を試み、UTX結合タンパク質候補として、15種類のタンパク質を同定した。 また研究を進める中で、UTXのスプライシングバリアントごとに局在など異なる挙動を示すことが明らかとなり、バリアント特異的なNLSを同定した。そこで各スプライシングバリアントの発現をRNA-seqデータから検証を試みたが、1つのデータから解析条件によって全く異なる結果が得られることから、100塩基程度の僅かな差のスプライシングバリアントの発現量をショートリードシーケンスで正確に定量比較することは困難と判断した。そこでエクソン毎のカバレージを公共データベースから入手し検証したところ、各スプライシングバリアントはリンパ球を含め全身で発現していることが示唆された。バリアントは局在挙動が異なることから、細胞内で異なる機能を担っている可能性があり、B細胞制御におけるバリアント毎の制御機構の違いの検討は今後の課題と考えられる。
|
Research Products
(1 results)