2023 Fiscal Year Annual Research Report
新規アッセイ法を利用した炭素環ヌクレオシドによる抗アデノウイルス剤の創製
Project/Area Number |
19K17934
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
紺野 奇重 国際医療福祉大学, 薬学部, 助教 (50807493)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 核酸化学 / 医薬品化学 / 抗ウイルス剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
アデノウイルスは強力な感染力を有するウイルスである。特に臓器移植を行った免疫不全状態の患者に対して対策が必要とされているが、有効な治療薬がないため、治療薬開発が望まれている。治療薬となる核酸アナログが抗ウイルス活性を示すためには生体内でトリリン酸化代謝を受ける必要があるが、化学修飾された核酸アナログは1段階目のモノリン酸化代謝を受けにくい。本研究では、非天然ヌクレオシドをリン酸化するウイルスキナーゼを発現させた細胞を用いるアッセイ系を構築し、既存のアッセイ方法ではヒットしなかった化合物をリード化合物とした創薬研究を行う。 2022年度までの研究活動の中で、課題が2つ残っていた。一つは、共同研究先で新規アッセイ法を用いた生物活性評価が実施できなくなったしまったため、本学で新規アッセイ法を用いたアッセイ系の構築を行う必要があることである。2022年度までに、当研究室でアデノウイルスを用いた既存の抗ウイルス活性評価を行うことができるようになった。2023年度は、ウイルスキナーゼを発現させた細胞系を樹立させることができ、さらにアデノウイルスを感染させて抗ウイルス活性評価を行うことができるようになった。 もう一つの課題として、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの影響により、ドラッグデザインしたCarbovir誘導体の原料となる化合物が入手できなくなってしまったことが挙げられた。この影響の変化を受けて、2023年度は計画とは異なる合成法の構築を行った。シクロペンタジエンを出発物質とした合成法を考案した。合成検討の結果、Carbovir誘導体の合成において鍵となる炭素糖部の合成まで終了した。今後、得られた炭素糖部の中間体と核酸塩基の縮合反応を検討し、Carbovir誘導体の合成を目指す。
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