2021 Fiscal Year Research-status Report
カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)におけるホスホマイシン耐性機構の解明
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19K17941
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
伊藤 亮太 藤田医科大学, 医学部, 講師 (50813359)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 耐性菌 / ホスホマイシン |
Outline of Annual Research Achievements |
藤田医科大学病院で検出されたカルバペネマーゼ腸内細菌科細菌77株を研究対象とした。菌種はすべて全ゲノム解析を行い、BLASTで16srRNA領域の相同性を確認し、生物学的性状も確認して微生物の同定を行った。全ゲノム解析はIlluminaのMiseqを用いて行い、得られたFastqファイルはnullarborパイプラインによって、アセンブリを行った。 菌種内訳はEnterobacter cloacae complex48株、Klebsiella pnuemoniae 29株であった。ディスク法で感受性試験を行い、ホスホマイシンの感受性については Enterobacter cloacae complex は22株で感性、K. pneumoniaeは11株で感性であった。また、全株カルバペネム耐性であることを確認した。 Enterobacter cloacae complex株は48株全株がblaIMP-1遺伝子を保有し、Klebsiella pnuemoniaeは24株がIMP-1を保有していた。 Enterobacter cloacae complex株の中で2株,ホスホマイシンディスク試験で阻止円内に発育する株(Inner colony)を認めた。それぞれ感性株である親株とホスホマイシン耐性娘株における遺伝子配列の比較を行ったところ、UhpTとその周辺の欠損を認め、糖質利用機能解析でも輸送系の機能低下を示唆する所見を認め、耐性化に寄与していることが示唆された。一方で耐性娘株のプラスミドを感性大腸菌にクローニングを行ったところ、ホスホマイシンのMICの上昇を認め、プラスミド内にも耐性に寄与する要因があると考えられ、今後研究を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ホスホマイシン耐性化に輸送系の機能低下が関与していることは明らかだが、プラスミド内にも耐性化にかかわっている要因があると考えられ、その特定に苦慮している。 また、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、感染症科として病院の感染対策業務、患者診療等にエフォートを要したことも要因に挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
プラスミド上にある耐性化に関連する要因を明らかにする。また、77株のホスホマイシン耐性株、感性株のゲノムデータを比較して、SNP解析を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症流行に伴い、感染対策業務へのエフォート増大のため。研究対象株における耐性株と感性株のゲノムの比較とInner colony株における耐性株のプラスミド解析を行う。
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