2020 Fiscal Year Research-status Report
抗原結合部位に依存しない抗体の結合活性増強法を用いたウイルス検査法の開発
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19K17945
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
齊藤 慎二 国立感染症研究所, 感染病理部, 主任研究官 (80787200)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 迅速診断法 / モノクローナル抗体 / IgA / 鳥インフルエンザウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
イムノクロマト法やELISA法は抗原抗体反応を利用した広く使用されている検査系である。これらの方法は基本的に使用する抗体の質により、検査系の感度が規定される。しかしながらCOVID-19のような新たな感染症が現れた時などのような緊急時に質の高い抗体を短時間で単離することは難しい。そのため、抗体の質によらない様々な感度増強法が開発されている。 申請者が開発した「抗体の抗原結合部位に依存しない抗体の活性増強法」はヒトのIgA抗体で多量体を作製する技術である。この方法は抗体の抗原結合部位に依存せず抗体の活性を増強することができる、また他の感度増強法である蛍光検出法などと組み合わせることで相加的に感度の増強を行うことも理論上可能である。 多くの既存の抗原抗体反応を利用した検査法はIgG抗体を利用してため、シームレスに既存検査法に導入できるようにするため、昨年度に引き続きヒトのIgA抗体の多量大化技術を用いてIgG抗体を多量体化する方法の検討を行った。 ヒトIgGとヒト又はマウスIgAの一部を融合した新たなデザインのキメラコンストラクトを作製した。昨年度までのコンストラクトのデザインでは抗体の多量体化は誘導されるが、二量体がメインであり、増強効果が最も優れている四量体を効率よく誘導できていなかった。今年度作製したコンストラクトは今までのコンストラクトと比較して四量体の作製効率を改善することに成功した。 来年度は今年度のデザインをマウスIgG抗体に応用して実際に検査系を構築し、四量体化による検出系の感度増強効果を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
職務上2019年末に発生した新型コロナウイルス対策に従事する必要が生じ、2020年度に入ってから研究を実施できる時間が減少してしまったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度作製したヒトIgGとヒトIgA又はマウスIgAとのキメラコンストラクトは、昨年度までのコンストラクトで課題となっていた四量体化効率を改善することができた。 今後は広く検査系で使用されているマウスモノクローナル抗体を簡単に利用できるようにするために、マウスIgGを用いて今回のキメラコンストラクトと同じデザインを検討する。 評価用に作製したA(H7N9)鳥インフルエンザウイルスのHAに対する組換モノクローナル抗体の特性がハイブリドーマ由来の抗体と同様である事を確認し、この抗体を用いてキメラ抗体を作製し検査系を構築し、四量体化による検出系の感度増強効果を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
職務上2019年末に発生した新型コロナウイルス対策に従事する必要が生じ、2020年度に入ってから研究を実施できる時間が減少してしまったため、研究に遅れが生じて次年度使用額が発生してしまった。検査系の構築段階まで進めた場合は、それらの外注を考えているため使用は可能である。 しかしながら、今年度も新型コロナウイルス対応は続いているため、可能であれば1年間の研究期間の延長等も検討したい。
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