2020 Fiscal Year Research-status Report
副腎機能不全に伴う低Na血症の病態解明:CRFニューロンに共存するAVPの意義
Project/Area Number |
19K17950
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
山形 聡 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (50769940)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | バソプレシン / 副腎不全 / 低ナトリウム血症 |
Outline of Annual Research Achievements |
副腎機能不全[糖質コルチコイド(GC)欠乏]は水利尿不全を引き起こす.抗利尿ホルモンであるバゾプレシン(AVP)の不適切分泌が病態に関与するとされるが,なぜGC欠乏ではAVPが不適切に分泌され続けるのか,そのメカニズムは明らかではない.AVPは主に視床下部室傍核(PVH)では大細胞から分泌されるが小細胞性コルチコトロピン放出因子(CRF)ニューロンからも分泌される.このCRF/AVPニューロンには浸透圧受容体がないため、理論上血漿浸透圧の影響を受けない.そこで、「GC欠乏では小細胞性CRF/AVPニューロンが持続的に刺激された結果,AVPの不適切分泌が起こり水利尿不全と低ナトリウム血症が引き起こされる」 と仮定し検証を行っている.我々は新たに作製したCRFニューロン選択的AVP欠損マウス(AVP欠損マウス)を用いて検討を行っている.定常状態ではC57BL/6Nマ ウス,AVPfloxedマウス,AVP欠損マウスの尿浸透圧,Na値に有意差はない.次に副腎摘除後,急性水負荷試験においては偽手術群と比較しAVPfloxedマウスで尿 量低下,尿浸透圧上昇,低Na血症が認められた.一方でAVP欠損マウスでは,水負荷後のこれらのパラメーターの変化が部分的であるが消失した.次にアクアポリン2(AQP2)の腎集合管における刷子縁側への膜移行を検討したところ,上記AVP欠損マウスでは,AQP2の膜移行が障害された.以上よりCRFニューロンに共存するAVPがGC欠乏時の水利尿不全に部分的に関与していることが示唆された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前年度には中途であったWestern blotting法によるAQP2発現の検証がほぼ終了し,CRFニューロン選択的AVP欠損マウスでは副腎不全状態における低Na血症・尿浸透圧上昇(利尿不全)が非欠損マウスと比較し起こりづらいことを裏付ける結果が得られた.しかしコロナ感染症の拡大による移動制限のため実験時間が大幅に制限され,本課題期間を1年延長した.
|
Strategy for Future Research Activity |
マウス脳視床下部におけるAVP発現の定量的解析(RI-ISH)は準備段階だが引き続き本課題を遂行する.
|
Causes of Carryover |
COVID19の影響により実験時間が大幅に減少したため.2021年度実験匹数を増やすため代謝ケージや浸透圧ポンプ等物品の追加購入に充てる予定。
|