2020 Fiscal Year Annual Research Report
Regulatory mechanism of beige adipocyte-differentiation by protein phosphatase.
Project/Area Number |
19K17952
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 亮 東北大学, 医学系研究科, 助教 (80733815)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エピゲノム / 脱リン酸化 / 熱産生 |
Outline of Annual Research Achievements |
脂肪細胞には、脂肪を蓄積する白色脂肪細胞、熱産生を担う褐色脂肪細胞が知られており、近年個体が長期の寒冷刺激を受けると白色脂肪組織内にベージュ脂肪細胞と呼ばれる熱産生を行う脂肪細胞が出現することが明らかにされてきている。ベージュ脂肪細胞は活発に糖や脂肪を燃焼し、生活習慣病の新規治療標的として注目を集めている。ベージュ脂肪細胞の分化では、寒冷刺激にともなう白色脂肪組織でのβアドレナリン刺激により、白色脂肪組織ではクロマチンレベルで抑制されているUcp1などの熱産生遺伝子の転写活性化が必要である。ヒストン脱メチル化酵素JMJD1Aがβアドレナリンシグナル下流でリン酸化され、抑制ヒストンメチル化修飾を消去して、クロマチンを活性化することが明らかにされている。このJMJD1Aのリン酸化レベルがどのようにして制御されるのかは不明である。本研究では、JMDJ1Aの脱リン酸化酵素複合体を明らかにし、白色脂肪のベージュ化におけるエピゲノム調節の解明を目指した。 JMJD1Aの相互作用因子を網羅的に探索し、リン酸化JMJD1A脱リン酸化酵素複合体 (phospho JMJD1A protein phosphatase complex, p-JMJD1A-PPC) を同定した。前駆白色脂肪細胞を用いたRNAi干渉法によりpJMJD1A-PPCの酵素活性を抑制すると、JMJD1Aのリン酸化レベルが上昇することを明らかにした。また、前駆脂肪細胞をベージュ脂肪細胞へと分化させる際、pJMJD1A-PPCの活性を阻害した条件下では熱産生遺伝子Ucp1の発現量が上昇することを見出した。これらの結果から、JMJD1Aのリン酸化はpJMJD1A-PPCによって脱リン酸化され、ベージュ脂肪細胞における熱産生遺伝子の発現制御に寄与していることが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)