2019 Fiscal Year Research-status Report
Molecular and functional analysis of HSD 10 disease
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19K17959
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
笹井 英雄 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (20509781)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | HSD10病 / 先天代謝異常症 / ケトン体 |
Outline of Annual Research Achievements |
HSD10病は非常に稀なX連鎖遺伝形式の先天代謝異常症で、重症例では神経退行をきたし予後不良である。原因遺伝子であるHSD17B10は①イソロイシン代謝系の2M3HBD酵素、②ミトコンドリア内コレステロール代謝系の17β-hydroxysteroid脱水素酵素、③ミトコンドリアRNasePの3つの機能をもつ多機能タンパクをコードする。本邦ではこれまでに3症例が診断されている。同定された3種類の変異のうち、p.A154T、p.A157Vを有する2症例は比較的症状が軽い非典型例であるが、p.R226Qの症例は重症型であり乳児期に心筋症で亡くなっている。同じHSD10病でも遺伝子変異の種類毎に臨床像に大きな差異があり、その病態には不明な部分が多い。 先行研究に引き続き、wild-typeおよび変異リコンビナントHSD17B10タンパクによる機能解析と臨床像の比較を進めた。既に確立している大腸菌によるタンパク発現システムを用いて高純度のリコンビナントタンパクを再精製した。イソロイシン代謝系の2M3HBDの活性測定に関しては、基質としてTiglyl-CoAを用いる従来の方法から、新たにDL-β-ヒドロキシ酪酸を基質として用いる変法により、迅速な活性測定が可能となった。イソロイシン代謝系における2M3HBDの活性低下と臨床像の追加解析・比較により、臨床的重症度ほどの差異は認めない可能性が高いことが示された。また、イムノブロットを用いた解析により重症型変異であるR226Qの時間経過によるタンパク不安定性を明らかにした。デュアルベクターを用いてHSD10とMRPP1の共発現に成功したため、今後、結合能の評価等も進める。また、ミトコンドリア内コレステロール代謝系の17β-hydroxysteroid脱水素酵素の活性を、吸光度計を用いて測定するため反応条件を変えながら最適化を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたタンパクの再精製は順調に施行できた。発現実験系の追加構築に関してはデュアルベクターであるpet-Duetベクターを用いて、HSD10とMRPP1の共発現用のベクターを作成し、タンパク共発現に成功した。一方、17β-hydroxysteroid脱水素酵素の活性測定においては、キュベット内で混濁が生じ、吸光度測定が阻害されることなどで適切に活性測定を施行することが難しい状況であった。これは、基質であるアロプレグナノロンがバッファーに難溶性であり、微小な沈殿等を形成している可能性を考えている。そのため、測定条件の再検討を行っている。今研究では、イソロイシン代謝系における2M3HBDの活性測定は基質を変更した変法により迅速に施行可能となっているが、17β-hydroxysteroid脱水素酵素の活性測定の最適化は今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
17β-hydroxysteroid脱水素酵素によるステロイド代謝の活性測定系において、原因不明の吸光度上昇の原因検索を行い、現時点でタンパク抽出Buffer中の個別成分 (Tween20)のアロプレグナノロンに対する影響が問題となっていると考えている。今後、ステロイド代謝の活性測定系を最適化させるために、条件検討を継続中である。また、本疾患の病態としてはRNasePの構成タンパクの機能低下が重要であるともいわれており、今後、ミトコンドリアRNasePの機能解析も検討しており、特にHSD10とMRPP1との結合がRNaseP活性に重要であることから、HSD10のどの領域が結合に重要であるのかをpet-Duetベクター上のHSD10に規則的なmutagenesisを起こした変異体を作成し、その安定性についても調べる計画をしている。pcDNA3.1+を用いた、ほ乳類細胞用の発現ベクターも完成しており、HEK細胞等を用いた解析も進めている。引き続き、タンパク解析を進めていくことでHSD10病の病態を明らかとし、論文発表していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
元々2ヵ年計画であり、次年度に使用する予定である。DNA解析試薬、抗体、酵素基質等の消耗品に使用する予定である。
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[Presentation] Summary of 5-year gene panel study for target inherited metabolic diseases in newborn screening -fatty acid oxidation defects-2019
Author(s)
Sasai H, Ago Y, Matsumoto H, Otsuka H, Hosokawa J, Fujiki R, Ohara O, Nakajima Y, Ito T, Hara K, Kobayashi M, Tajima G, Ichinoi N, Sakamoto O, Jun K, Matsumoto S, Nakamura K, Hamazaki T, Kobayashi H, Hasegawa Y, Fukao T
Organizer
The 6th Annual International Network for Fatty Acid Oxidation Research and Management symposium
Int'l Joint Research
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[Presentation] Summary of 5-year gene panel study for target inherited metabolic diseases in newborn screening2019
Author(s)
Sasai H, Ago Y, Matsumoto H, Otsuka H, Hosokawa J, Fujiki R, Ohara O, Nakajima Y, Ito T, Hara K, Kobayashi M, Tajima G, Ichinoi N, Sakamoto O, Jun K, Matsumoto S, Nakamura K, Hamazaki T, Kobayashi H, Hasegawa Y, Fukao T
Organizer
Annual symposium of the society for the study of inborn errors of metabolism 2019
Int'l Joint Research
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