2021 Fiscal Year Annual Research Report
中枢、末梢組織におけるHPA系ネガティブフィードバック機構の分子学的機序の検討
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19K17973
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
綿貫 裕 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (60782795)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 視床下部 / 下垂体 / 副腎 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体のストレス応答や恒常性維持に重要な役割を果たしている、視床下部-下垂体-副腎(HPA)系の分子学的機構の解明に向けて研究を進めた。当初HPA系のフィードバック機構におけるシグナル伝達タンパクの候補のうち特にFKBP4とFKBP5、またGDF15の作用機序について検討した。実施内容としては、下垂体ACTH産生AtT20細胞を用いたin vitro の遺伝子導入の手法並びに細胞生物学的手法により解析した。 FKBP2種はいずれもグルココルチコイド(GC)受容体の核内輸送に関与することが知られており、特にFKBP5はGC受容体と複合体を成して細胞質内に存在していることが知られている。本研究でまずFKBP4の動態を確認した。GC投与によりACTH前駆体であるPOMCのmRNA発現が抑制された事と相同してFKBP4 mRNAもGC用量依存的に発現量の減少が確認された。対してFKBP5はmRNA、蛋白いずれもGC投与による発現増加が見られた。POMC mRNA発現抑制量はFKBP4のノックダウンで低下し、FKBP5ノックダウンでは増加が見られた。以上の結果からFKBP4は直接的にGCの抑制的フィードバックに関与し、FKBP5はGCのPOMC発現抑制作用の減弱に、受容体輸送の阻害などを介して寄与すると考えられた。以上の機構を文献報告した(Int J Mol Sci. 2021 27;22:5724.)。 GDF15は特に炎症性ストレスや細胞分化の制御機構において重要な役割を果たすことが知られているサイトカインであるが、これに関しても同様の下垂体由来のAtT20細胞を用いてHPA系フィードバック機構への関与を検討した。GDF15の転写活性、mRNAはGC投与で減弱され、GDF15のノックダウンによりGCのPOMC発現抑制作用は減弱された。 またAtT20細胞においてGDF15の受容体であるGFRALが同定されたことも、GDF15が下垂体ACTH産生細胞におけるフィードバック機構への重要な役割を果たすことを示唆するものと考えられた。上記メカニズムについても文献報告予定である。
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Research Products
(1 results)