2020 Fiscal Year Research-status Report
Endocrinological crosstalk between aldosterone-related hypertension and calcium metabolism
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19K17974
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山崎 有人 東北大学, 医学系研究科, 助教 (70833367)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Ca チャネル / 副腎 / アルドステロン / 高血圧 / Ca チャネル拮抗薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は昨年度の推進方策の通り、細胞外 Ca が流入する門戸である Ca チャネルの発現動態、機能について検討した。原発性アルドステロン症の副腎手術検体における電位依存性 Ca チャネル(CaV1.2, CaV1.3)の発現を免疫組織化学的に検討したところ、CaV1.3, CaV1.2 共に局在が見られた。また、ヒト組織切片上で、降圧剤として汎用性の高い Ca チャネル受容体拮抗薬であるアムロジピンを imaging mass spectrometry により可視化する方法を考案した。Ca 受容体拮抗薬であるアムロジピンを至適用法・用量投与下において投与患者の副腎組織標本上で可視化したツールの開発は初めてである。 本解析法を用いた結果、原発性アルドステロン症の副腎組織(CaV1.2, CaV1.3が豊富に存在すると考えられる組織)において副腎周囲脂肪組織(CaV1.2, CaV1.3 の局在が副腎よりも低いと考えられる組織)よりも imaging mass spectrometry によるシグナル値が得られた。 また、アムロジピン非投与例の副腎組織ではシグナルが検出されず特異性についても確認できた。Imaging mass spectrometry の結果は局在性には優れるものの、定量性については乏しいとされているが、本解析方法は液体クロマトグラフィーを用いた質量解析による定量的解析結果とも一致しており、本解析方法の半定量性についても妥当性を証明し得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は COVID-19 流行による研究制限等の指針があったものの、昨年度の研究推進方策で検討した計画とほぼ同様の進捗状況であった。ただし、CaV1.2, CaV1.3 の免疫組織化学の条件最適化(抗体の選別も含め)に当初の予定よりも時間を要したため、予定していた副腎組織および脂肪組織における CaV1.2, CaV1.3 の免疫組織化学の発現量の相違を定量的に解析するまでには至らなかった。しかし、近日中には終了する予定であり、ほぼ予定していた通りに進捗しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、第一に副腎組織および脂肪組織における CaV1.2, CaV1.3 の免疫組織化学による定量的解析を終了し、imaging mass spectrometry の結果および液体クロマトグラフィーを用いた質量解析の結果との比較を行い、Ca 拮抗薬の局在と Ca チャネル(CaV1.2, CaV1.3)の局在が一致するかを検討する。更には同一症例(Ca 拮抗薬投与例および Ca 拮抗薬非投与例)を用いて、原発性アルドステロン症の副腎組織と脂肪組織におけるステロイドホルモンプロファイルの違いを質量分析等を用いて解析し、Ca 拮抗薬のステロイドホルモン合成への影響を考察する。ただし、ヒト検体を用いた解析においては個体差を考慮する必要があるため、副腎皮質癌培養細胞を用いて Ca 拮抗薬の添加実験を行い、ステロイドホルモン合成への影響も解析する。In vitro では Ca 拮抗薬がアルドステロン合成を抑制する事は報告されているものの、ジヒドロピリジン系 Ca 拮抗薬は原則的に CaV1.2 に選択的に結合する事が知られているため、生体内のように CaV1.2, CaV1.3 に対して競合的に結合する際は濃度依存性である可能性が考慮されるため、in vitro では添加する Ca 拮抗薬の濃度勾配を付けながら解析する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は主に CaV1.2, CaV1.3 等の免疫組織化学的検討に関する関連物品を購入した。一方で、COVID-19 の流行に伴い国内外の学会はWEB開催となったため、旅費は生じなかった。また、培養細胞関連や質量分析関連の物品の一部については、共同研究等として実施する事が出来たため、これらの余剰分を次年度に繰り越しとした。次年度では引き続き免疫組織化学関連の物品や培養細胞実験、遺伝子変異解析等を実施する予定であり、これらに使用する物品費に割り当てる予定である。
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Research Products
(33 results)