2021 Fiscal Year Research-status Report
甲状腺ホルモンを介した慢性腎臓病におけるオートファジー制御機構の解明
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19K17981
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
大場 健司 浜松医科大学, 医学教育推進センター, 特任講師 (70649392)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度に、トリヨードサイロニン(T3)を14日間投与した成獣マウスの腎組織を用いてLC3-II(オートファゴソーム膜結合蛋白LC3の脂質結合型;オートファゴソーム数と相関する)のウエスタンブロッティングを行ったが、T3投与による統計学的な有意差を検出できなかった。一方で、甲状腺ホルモン輸送蛋白であるMonocarboxylate transporter 8(MCT8)を欠損したマウスは、出生後から腎臓で慢性的な甲状腺機能亢進状態を呈することが報告され、報告者は以前、Mct8欠損マウスの腎臓では、代表的な甲状腺ホルモン応答遺伝子(Dio1、Thrspなど)の発現が亢進していることを報告した。今回、Mct8欠損マウスの腎臓を用いて、LC3-IIおよびp62(別名SQSTM1/sequestosome 1;オートファジー活性と負の相関を示すタンパク質)のウエスタンブロッティングを行った。野生型マウス(6頭)に比べ、Mct8欠損マウス(6頭)では、LC3-IIの発現が高く、p62の発現が低い傾向を認め、甲状腺ホルモンによるオートファジー惹起の可能性が示されたが、統計学的有意差は得られなかった。 マウスを用いた甲状腺ホルモン作用の検討法は、甲状腺機能亢進状態と甲状腺機能低下症のモデルに大別される。前者のモデル(T3を投与したマウス、あるいはMct8欠損マウス)では研究開始時に予想した結果が得られなかったため、既報を参考にして、後者のモデルを用いた実験を実施した。即ち、マウスを4群に分類し、抗甲状腺薬プロピオチオウラシルを各々、0 ppm(コントロール)、5 ppm、50 ppm、500 ppmの濃度で22日間経口投与。血液・肝臓・心臓・腎臓・下垂体を採取した。報告書作成時点で、RT-qPCRおよびウエスタンブロッティングの結果までは得られていない。 なお、研究課題のキーワードである“甲状腺ホルモン”、あるいは“オートファジー”に関連した複数の研究成果を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画当初に予想していた結果が得られなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
甲状腺ホルモンを投与したマウス、あるいは、腎臓における甲状腺機能亢進状態を呈するMct8欠損マウスを用いて有意な変化が得られなかったが、臨床では甲状腺機能低下症と腎機能低下についての複数の報告があるため、抗甲状腺薬を投与したマウスの解析を継続する。
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Causes of Carryover |
予想していた実験結果が得られなかったことにより、実験の遅れが生じたため次年度使用額が発生した。当初の予定よりも次年度に行うべき実験が多くなるため、使用を予定する。
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Research Products
(10 results)