2020 Fiscal Year Research-status Report
Evaluations of growth hormone replacement therapy based on higher brain functions
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19K17987
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
木下 康之 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (90750993)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 成長ホルモン分泌不全症 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年1月から2021年4月の期間において、合計20患者・28回計測分のデータを収集することができた。いずれも下垂体腫瘍の患者である。『Just Tap』を行うUB2、『Just Touch』『Trail Making Test』を行うiPadの操作にもなれ、安定したデータを収集できるようになった。成長ホルモン補充を行った患者は2患者と少ないが、1人は1年間を通して補充を継続しこの3月でデータ収集を終了した。もう1人についても2021年6月に1年間の観察とデータ収集を終了する。また、下垂体腺腫患者において研究参加の同意を得ることができた18患者においてもデータを収集した。この中で重症成長ホルモン分泌不全症を呈した患者は2名おり、今後の経過観察において重症成長ホルモン分泌不全症が後遺した場合は、補充療法を検討する予定である。 補充を行った2名については現在解析中である。アンケート形式の自覚的計測においてはCOVID-19蔓延初期では一過性にanxietyの点数が悪化するなど時代背景に応じた変化を認めた。『Just Touch』や『Just Tap』を用いた他覚的計測もアンケートの点数に相関して合計点数の増減を認めていた。2例であるため統計学的な評価はできないが興味深い所見であった。『Just Touch』や『Just Tap』のデータは集中力や注意力とも相関することが広島大学工学研究科との研究で報告されているため、引き続きデータを収集し、工学研究科と連携を取りながら解析をすすめていく予定である。現在広島大学工学研究科とのカンファレンスはCOVID-19の影響でZoomを利用したリモートカンファレンス形式で開催し、随時方法の確認とデータ報告を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19蔓延の影響による経鼻手術の延期により、予定より手術数が減少し、研究対象となる症例数が減少した。現在は院内での術前PCR検査や感染防御対策をとりながら、通常の手術体制となっており、徐々に手術件数は回復している。また頭蓋咽頭腫の患者や下垂体germinomaについては感染状況は関係なく多数の施設からご紹介頂き、患者の治療を行った。少しずつではあるが、確実にデータを蓄積している。 本研究は補充療法開始から1年にわたるデータ収集という時間を必要とする研究である。また成長ホルモン補充療法は腫瘍再発のリスクを上昇させるというデメリットを要するため、悪性腫瘍の場合は治療後2年の経過観察期間の後に成長ホルモン補充療法を行うため、長期的に継続したデータ収集が必要となる。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年から2021年4月までに頭蓋咽頭腫患者6名と下垂体germinomaの患者4名の治療を行った。その中の3名は重症成長ホルモン分泌不全症を後遺している。治療効果の確認のため、加療後2年の経過観察を要するが、その後も重症成長ホルモン分泌不全症を後遺していた場合、今後の成長ホルモン補充療法の開始を予定している。2019年に加療終了し現在経過観察中の重症成長ホルモン分泌不全症を呈した下垂体germinomaの患者2名もそれぞれ2021年の6月と11月に2年の経過観察が終了するため、補充療法開始を検討している。下垂体腺腫の患者さんにおいては、経過観察期間の必要はなく、適宜、データを収集している。収集したデータについて前述の通り広島大学工学研究科と連携し、順次データの解析をすすめていく。 データの収集には当初の計画より時間を要する見込みであるが、研究は計画通りにすすんでいる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じている主な原因は、COVID-19蔓延の影響により学会参加の旅費を計上していないためです。次年度中にはある程度のデータが収集できる見込みです。次年度経費として、工学部とのデータ解析と打ち合わせ、研究成果の学会発表、論文作成の費用に使用する予定です。
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Research Products
(1 results)