2021 Fiscal Year Annual Research Report
肥満・糖尿病におけるmicroRNAによるインスリンシグナル制御とその意義
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19K17989
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小野 薫 熊本大学, 病院, 特任助教 (80836403)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | microRNA / インスリンシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
「脂肪組織における miR-222 の増加が、インスリン作用伝達を負に制御しインスリン抵抗性を増大する」という仮説を証明すべく実験を進めた。 マウス由来前駆脂肪細胞である 3T3-L1 細胞に人工的な miRNA 分子(miRNA mimics / inhibitor)導入による機能解析実験を行った。インスリン刺激を加え、インスリン作用に関連するタンパクの発現をウエスタンブロッキングで評価すると、miR-222を過剰発現した細胞では、IRS-1 タンパク、IRS-1 のリン酸化、Akt リン酸化が減弱した。またmiR-222 を過剰発現した3T3-L1脂肪細胞では、糖取り込みがコントロールと比較し有意に低下した。以上からmiR-222 の発現上昇は脂肪組織におけるインスリン抵抗性に関与する可能性がある。またmiR-222 の発現を抑制することで、インスリン抵抗性を解除できるかに関しては、TNFα 刺激に加え、さらにmiR-222 発現を抑制することで検討した。TNFα処理によりAkt リン酸化は減弱するが、miR-222 inhibitorでmiR-222を抑制することで、これは回復した。以上から、脂肪組織におけるmiR-222の発現抑制は、TNFα 誘発性のインスリン抵抗性を抑制できる可能性がある。 miR-222 とIrs-1 mRNA 3’-UTR の結合に関しては、ルシフェラーゼアッセイを行った。miR-222 のシード配列に相補的な配列を含むマウスIrs-1 mRNA 3’-UTRを挿入したベクター (WT)とシード配列に相補的な配列を変異させたベクター (Mut) を使用した。WTベクターを導入したmiR-222 過剰発現細胞ではルシフェラーゼ活性が有意に低下した。この結果はマウスIrs-1 mRNAがmiR-222の標的遺伝子であることを示している。
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