2019 Fiscal Year Research-status Report
終末糖化産物を介した低骨代謝回転型糖尿病性骨粗鬆症の分子制御機構の解明と治療応用
Project/Area Number |
19K17995
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
田中 健一 産業医科大学, 医学部, 修練指導医 (90596686)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 終末糖化産物 / 破骨細胞 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では終末糖化産物(AGEs)が破骨細胞分化を抑制するメカニズムを明らかにし、糖尿病患者でみられる低回転型の骨代謝異常に対しAGEsが関与するか検討することを目的とした。 in vitroにおいてヒト単球細胞に対してWB法でreceptor for AGE (RAGE)タンパク質の発現を検討したところ、glucose-modified AGEs-BSA (Glu-AGEs-BSA)、glycolaldehyde-modified AGEs-BSA (Glyco-AGEs-BSA)、Control-BSA刺激の有無に関わらず同程度のRAGEタンパク質の発現が検出された。次にTRAP染色により、Glyco-AGEs-BSA刺激にて用量依存性にTRAP陽性細胞数、NFATc1とCathepsin K遺伝子のmRNA発現が有意に抑制された。また、CBA法によりday1にてGlyco-AGEs-BSA刺激後、破骨細胞分化促進作用を担うサイトカインTNF-α、IL-1β、IL-6および破骨細胞分化抑制作用を担うサイトカインIL-10の産生が有意に亢進した。IL-10の産生はday9においても依然として亢進していた。一方、Glyco-AGEs-BSA単独刺激に比してIL-10中和抗体とGlyco-AGEs-BSAの共刺激にて破骨細胞分化の抑制作用は減弱した。最後にGlyco-AGEs-BSA刺激を受けた単球において総NF-κBに対するNF-κBの相対的リン酸化が増強される一方、IKK阻害薬添加後、Glyco-AGEs-BSA刺激によるIL-10発現誘導は阻害剤容量依存的に抑制された。以上よりGlyco-AGEs-BSAはIL-10の産生を介してヒト単球から破骨細胞への分化を負に制御することが示された。また、Glyco-AGEs-BSAはNF-κBを介してIL-10を産生する可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitroにおいてGlyco-AGEs-BSAが破骨細胞分化を抑制するメカニズムがある程度明らかとなってきている。一方、臨床データについてはまだ検討できておらず今後の課題である。
|
Strategy for Future Research Activity |
in vitroに関して、Glyco-AGEs-BSAがなぜ他のAGEと異なり、破骨細胞分化を抑制するのかを検討する必要がある。また、NFATc1、Cathepsin K以外の因子の探索を行う。ほかにもGlyco-AGEs-BSAがIL-10発現するメカニズムも検討する。糖尿病患者におけるAGEsと骨代謝についても臨床研究を行い併せて検討していく。
|
Research Products
(1 results)