2020 Fiscal Year Research-status Report
終末糖化産物を介した低骨代謝回転型糖尿病性骨粗鬆症の分子制御機構の解明と治療応用
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19K17995
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
田中 健一 産業医科大学, 医学部, 助教 (90596686)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 終末糖化産物 / 破骨細胞 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では終末糖化産物(AGEs)が破骨細胞分化を抑制するメカニズムを明らかにし、糖尿病患者でみられる低回転型の骨代謝異常に対しAGEsが関与するか検討することを目的とした。 我々は既にin vitroにおいて、TRAP染色によりglycolaldehyde-modified AGEs-BSA (Glyco-AGEs-BSA)刺激にて用量依存性にTRAP陽性細胞数、NFATc1とCathepsin K遺伝子のmRNA発現が有意に抑制され、ヒト単球から破骨細胞への分化を負に制御することを見出している。 その機序にさらに明確にするために、RANK遺伝子のmRNA発現をRT-PCRで確認することとした。刺激1日目において、glucose-modified AGEs-BSA (Glu-AGEs-BSA)、Control-BSA刺激ではRANK mRNA発現に変化はなかったが、Glyco-AGEs-BSA刺激にてRANK mRNA発現は有意に抑制された。次にRANK/RANKLシグナル下流にあるAktに着目し、AKtリン酸化の発現をFACSにて検討した。Glyco-AGEs-BSA刺激の有無にかかわらずAKtリン酸化の発現増強を確認することはできなかった。また、ERK阻害薬とGlyco-AGEs-BSA共刺激にてRANK mRNA発現に変化があるか検討したが、Glyco-AGEs-BSA単独刺激時と不変であった。 以上よりGlyco-AGEs-BSAがヒト単球から破骨細胞への分化を負に制御する機序として、刺激早期にRANK発現が抑制され、その後NFATc1とCathepsin K遺伝子が抑制される可能性が示唆されたが、RANKの下流シグナルがどのように制御されているかまでは明らかにすることはできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitroにおいてGlyco-AGEs-BSAが破骨細胞分化を抑制するメカニズムについて少しずつ示すことができている。さらに臨床データにおいて糖尿病患者と骨代謝との関連性について検討することが今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床研究として糖尿病患者における血中AGE値と骨代謝マーカーとの関連を検討する。 当初は当科外来通院中の55歳以上の2型糖尿病患者および非糖尿病患者を両群100例ずつとしていたが、新型コロナウイルス感染症に伴い外来縮小などもあり、目標症例数までは困難である。できる限りのデータを集め、血中AGE値と骨代謝マーカーとの関連について検討する方針である。
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