2021 Fiscal Year Annual Research Report
終末糖化産物を介した低骨代謝回転型糖尿病性骨粗鬆症の分子制御機構の解明と治療応用
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19K17995
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
田中 健一 産業医科大学, 医学部, 助教 (90596686)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 終末糖化産物 / 破骨細胞 / 糖尿病 / 低骨代謝回転 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では終末糖化産物(AGEs)が破骨細胞分化を抑制するメカニズムを明らかにし、糖尿病患者でみられる低回転型の骨代謝異常に対しAGEsが関与するか検討することを目的とした。 我々は既にin vitroにおいて、TRAP染色によりglycolaldehyde-modified AGEs-BSA (Glyco-AGEs-BSA)刺激にて用量依存性にTRAP陽性細胞数、NFATc1とCathepsin K遺伝子のmRNA発現が有意に抑制され、ヒト単球から破骨細胞への分化を負に制御することを見出している。 今回2型糖尿病閉経後女性(n=34)と、非糖尿病閉経後女性(n=22)を対象に、血清Glyceraldehyde-modified AGEs(Glycer-AGE)値と骨代謝との関連性を検討した。2型糖尿病患者の平均罹病期間が9.7年、HbA1c 9.2%と血糖コントロール不良であった。Glycer-AGE値は糖尿病群が非糖尿病群より有意に高かった(20.5±7.9 vs. 15.5±6.6, P =0.015)。骨形成マーカーであるⅠ型プロコラーゲン-N-プロペプチド (P1NP)は、糖尿病群が非糖尿病群に比べ有意に低かった(39.7±16.1 vs 59.2±25.1, P=0.001)。骨吸収マーカーである骨型酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ(TRACP-5b)の値は、糖尿病群が低い傾向であった(359±131 vs. 420±155、P=0.133)。さらに、Glycer-AGEと各骨代謝マーカーの相関を解析したところ、Glycer-AGEはPINPと負の相関傾向(r=-0.240、P=0.074)、 TRACP-5bと有意な相関(r=0.264、P=0.049)がみられた。以上から2型糖尿病患者ではAGE濃度が高く、高AGE血症が低骨代謝回転に関連する可能性が示唆された。
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