2020 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of the prediction of type I diabetes mellitus onset in the patient administered immune checkpoint inhibitor.
Project/Area Number |
19K18007
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤田 有可里 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (60837003)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | β細胞量 / α細胞量 / 膵島炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫チェックポイント阻害薬投与後に1型糖尿病を発症した3例の膵組織を確保した。症例1(さいたま赤十字症例):尿路癌多発転移に対し、ペムブロリズマブ(抗PD-1抗体)2回目投与後に劇症1型糖尿病を発症し、その1か月後に原疾患にて死亡した症例。症例2(大手前病院症例):難治性ホジキンリンパ腫に対しニボルマブ(抗PD-1抗体)使用後3か月で1型糖尿病発症、約1年後に死亡した症例。症例3(当院症例):腎癌膵転移に対しニボルマブ(抗PD-1抗体)とイピリムマブ(抗CTLA4抗体)投与5か月後に劇症1型糖尿病を発症し、その2年後に膵全摘を行った症例。 3症例ともに膵臓に残存β細胞はほとんど認めず(ほぼ0%、健常人では膵臓全体の1.02%)、α細胞面積はほぼ健常者と同等に保たれていた(0.21~0.49%、健常人では0.17%)。また、T細胞優位の膵島炎が認められ(膵島の0.8~1.8%、健常人では0.07%)、特に細胞障害性T細胞の浸潤が多かった。 マクロファージの浸潤が少ない点やα細胞が残存している点は劇症1型糖尿病より自己免疫性1型糖尿病に近い発症機序である。しかし発症1か月でもほぼβ細胞が認められないなど、β細胞の破壊速度が従来の1型糖尿病より早いと思われる。また、劇症1型糖尿病、自己免疫性1型糖尿病のいずれもβ細胞が消失すると膵島炎は収まるとされているが、免疫チェックポイント阻害薬による1型糖尿病では膵島炎が長引く可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
残存β細胞及びα細胞におけるPD-L1の発現並びに浸潤T細胞におけるPD-1の発現状況の確認を行っているが、それらの免疫染色が安定しない。しかし、それらを確認できない限りは従来の自己免疫性1型糖尿病より膵島炎が強い理由を説明できない。
|
Strategy for Future Research Activity |
免疫染色の1次抗体や発色基剤などの変更を検討していく。免疫染色の感度をあげるエンハンサーなどの試薬の使用、高精度の蛍光顕微鏡の使用などを考慮。 免疫チェックポイント阻害薬投与後に1型糖尿病を発症する症例が多くないため引き続き泌尿器科と連携する。
|
Causes of Carryover |
これまで研究に使用してきた試薬や抗体の多くが2019年以前に購入したものであり、新たに購入する必要がなかった。今後研究を進めるうえで新たに購入する物品が増えると思われる。また、当研究室にある画像解析のためのパソコンが古く研究に支障が生じ始めているためこれを新しくする可能性がある。
|
Research Products
(3 results)