2020 Fiscal Year Annual Research Report
アンジオテンシン受容体機能調節因子による高血圧の新規治療戦略
Project/Area Number |
19K18010
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
小林 竜 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (60805612)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 高血圧 / 慢性腎臓病 / レニン-アンジオテンシン系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,高血圧モデル動物,発生工学的手法により作製した組織特異的ATRAP発現制御動物およびヒト組織を用いて,ATRAPの発現・活性調節異常と高血圧および高血圧関連臓器障害との関連についてNaチャネルやR-A系構成要素や炎症性サイトカインなどの蛋白発現解析,尿中カテコラミンや腎交感神経活性,血管張力,代謝ケージによる水電解質代謝の解析など多面的に検討し,高血圧・高血圧関連臓器障害の発症・進展におけるATRAPの病態生理学的意義の解明,およびATRAPに着目した新規分子標的治療法の開発に向けた検討を行っている.
本研究の学術的独自性として,ATRAPは,現在臨床使用されているACE阻害薬やARBなどのR-A系阻害薬とは分子機序が異なり,定常的状態の同受容体情報伝達系活性には影響を与えずに,病的刺激によるAT1 受容体の過剰活性化を選択的に抑制する可能性がこれまでの研究成果から示されている.また,今回ヒト組織でのATRAP発現レベルと,高血圧および高血圧関連臓器障害の重症度と臨床指標との関連を検討することにより,その早期診断法や新規治療法の発見につながる可能性があると考えている.
① 尿細管ATRAP欠損が血圧に与える影響の検討,② 血管平滑筋ATRAP欠損が血圧に与える影響の検討,③中枢でのATRAP高発現が血圧に与える影響の検討,④ ヒトでの高血圧および高血圧関連臓器障害組織局所でのATRAP 発現の検討について各々研究をすすめているが,2020年度は,研究課題について論文報告することができなかった.今後,尿細管ATRAPが腎臓病病態においてどのような意義を示すかどうかについては,現在も研究途中であり,来年度には報告することができると考えている.
|