2019 Fiscal Year Research-status Report
血漿ペプチドーム技術にて同定した新規キニノーゲン由来ペプチドの機能解析
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19K18013
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小川 顕史 北里大学, 医学部, 助教 (70458785)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 新規ペプチド / ブラジキニン / ペプチドーム |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者の所属研究室は、質量分析を用いてヒト血漿中に存在する低分子量ペプチドを発見する「ヒト血漿ペプチドーム技術」の開発に成功し、1万種以上に及ぶアミノ酸配列の構造決定を行った。これらの配列の中には、既存のあらゆるペプチドデータベースにも記録のないものが多数存在した。それらを化学合成して細胞応答を探索したところ、細胞内カルシウム濃度の上昇や遺伝子増殖を示す配列が存在し、その中でもキニノーゲン由来のペプチドには強力な細胞内シグナル惹起作用を認めた。研究費取得前の予備実験において、14種類のキニノーゲン由来ペプチドのうち少なくとも2種類で、マウス血管内皮腫様細胞(UV♀2)、ラット線維芽細胞(Rat-1)、ヒト肺腺癌細胞(A549)、ヒト骨肉腫細胞(MG63)に対して10-8M以下の濃度で有意に細胞内カルシウム濃度を上昇させることが明らかになっていた。 今回、新たに購入したヒト線維芽細胞、ならびにヒト動脈内皮細胞の初代培養細胞を用いて予定していたシグナル伝達の検証を行ったところ、14種類のキニノーゲン由来ペプチドすべておいて前述の培養細胞で認められていた細胞応答は再現できなかった。また、経時的に一酸化窒素濃度を測定する実験に関しても同様にヒト動脈内皮細胞は無反応であり、更にヒト血管平滑筋細胞、ヒト臍帯静脈細胞などを用いて検討してみたが細胞応答は確認できなかった。従って、現段階では新規ペプチドはブラジキニンとは異なる受容体を解する可能性があると考えている。なお、今後の研究は予備実験で最も大きな反応を示していた既存のヒト骨肉腫細胞に絞って継続することが望ましいと判断し、機能解析を継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要の通り、新たに購入したヒト血管内皮細胞およびヒト線維芽細胞において有意な結果が得られなかった。しかしながら、既存の骨肉腫細胞を用いた機能解析を進めた結果、ブラジキニン様反応を示すペプチドの他に、ブラジキニンのアンタゴニストとして働く可能性のあるペプチドが更に2種類判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
ブラジキニン様反応を示す新規ペプチドに加えて、アンタゴニストの可能性があるペプチドについても詳細な機能解析、特に病態における役割について検討を進めていく。
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Causes of Carryover |
当初の予定より消耗品を安価に購入でき、効率よく使用できた。
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