2019 Fiscal Year Research-status Report
新たな2型糖尿病腎線維化モデルの開発および解析から迫る糖尿病腎症病態
Project/Area Number |
19K18015
|
Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
水沼 有威子 獨協医科大学, 医学部, 助教 (80784008)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 2型糖尿病 / 糖尿病腎症 / 線維化 / 内因性抗線維化ペプチドAcSDKP |
Outline of Annual Research Achievements |
新たな2型糖尿病腎線維化モデルとしてCD-1db/dbマウスを作製し、既に腎臓・心臓で高度な線維化を呈することを確認している。 表現型の解析について、CD-1db/dbは、8週時点で血糖値、体重、摂食量、飲水量がBKSdb/dbを上回り、体重はより重い傾向であった。空腹時血中インスリン濃度に関して、16週でCD-1db/dbはBKSdb/dbより高値であったが、24週では有意に低値となり、CD-1db/dbはインスリン抵抗性出現の後にインスリン分泌不全を来すことが示唆された。血中シスタチンC濃度は、16週から24週にかけてCD-1db/dbは増加傾向を示した。尿中Alb/Cr比に関して、CD-1db/dbはBKSdb/dbに比べて高値であった。CD-1db/dbは尿中AcSDKP(内因性抗線維化ペプチド)が低値となり、網羅的遺伝子解析の結果ではFibronectin 1、Angptl 4、CTGFといった線維化関連遺伝子がより強く誘導されていた。AcSDKPの前駆蛋白thymosin beta4およびAcSDKP合成に必須の酵素prolyl oligopeptidaseの遺伝子発現が、CD-1db/dbでは低下していた。 新たに肝臓組織の解析を行った。組織学的定量として、Masson trichrome染色およびSirius red染色を用いて肝線維化の差異を確認し、CD-1db/dbはBKSdb/dbに比べて有意に線維化が顕著であることが分かった。 これらの結果は、第56回日本臨床分子医学会学術集会、第62回日本糖尿病学会年次学術集会、第55回欧州糖尿病学会(EASD)、第34回日本糖尿病合併症学会、および第6回北関東糖尿病研究会にて発表し、Journal of Diabetes Investigation誌に論文報告した(doi: 10.1111/jdi.13311)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
金沢医科大学で作製したCD-1db/dbを獨協医科大学にても確立するために、金沢医科大学からCD-1db/mの雄と雌(CD-1db/m同士を交配させてCD-1db/dbを得る)を移送する各種手続きを進めており、実際にCD-1db/dbを用いた更なる解析を行えていないためである。
|
Strategy for Future Research Activity |
まずは獨協医科大学でのCD-1db/dbの確立を早急に進める。表現型の解析として、16週および24週の結果は報告しているが、8週や12週については中途であり、それらの解析を行う。同時に、表現型の解析の次に挙げた研究課題である介入実験も行う。 金沢医科大学で得られたCD-1db/dbの膵臓組織についても解析中であり、膵臓組織に対してHE染色を行い、CD-1db/dbにおいて膵島委縮などがBKSdb/dbに比べて強く見られるか等を検討する。
|
Causes of Carryover |
獨協医科大学にてCD-1db/dbを確立するための手続き等に時間を要し、実際に計画通りに実験を進められなかったため。
令和2年度の経費と合わせて試薬の購入、マウスを金沢医科大から輸送する費用等に充当する。
|