2019 Fiscal Year Research-status Report
患者由来同所性異種移植(PDOX)モデルを用いた神経芽腫難治性メカニズムの解明
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19K18022
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
秦 佳孝 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (90815094)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 神経芽腫 / PDOX / がん幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経芽腫は主に副腎を原発臓器とする小児悪性固形腫瘍のひとつであり、進行神経芽腫は集学的治療により約7割が寛解となるが、その約半数は再発をきたし難治となる。本研究では進行・再発神経芽腫の難治性獲得の分子遺伝学的メカニズムを解明するため、患者由来同所異種移植モデル(Patient-Derived Orthotopic Xenograft,以下PDOX)を作成・解析する。 2019年度は予備実験として、神経芽腫細胞株を用いたマウスへの同所移植実験を行った。マウスは5週齢のBALB/cSlc-nu/nuを使用した。麻酔はAvertinの腹腔内投与で行った。左側腹部で開腹してマウス左腎を露出し、腎上極の副腎周囲脂肪識内に29G針で刺入し、あらかじめマトリゲルと混和した細胞懸濁液を10-20µl注入して閉創した。処置によるマウスの死亡はなかったが、腫瘍の生着は見られなかった。注入する副腎周囲脂肪識の被膜内のスペースが予想以上に狭く、想定した細胞数を移植できなかったことが原因のひとつと思われた。そこで、生着率を上げるためにより免疫不全の強いNOD/ShiJic-scidマウスを使用し、同様な手技で移植実験を行った。次第に実験手技が安定し腫瘍の生着が見られるようになった。しかしながら、当初想定していた臨床検体の腫瘍細片をそのまま移植することは、体積の問題から十分な細胞数を確保できず、困難であることが予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた以上に移植手技の確立に時間を要したため。しかしながら今後挽回できる遅れと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
患者由来の腫瘍検体を移植するにあたり、生着率を上げるためにNeurosphere形成法によるprimary cultureを行い、得られたsphereを同所移植する。生着した腫瘍は当初の予定通り網羅的ゲノム解析を行う。sphere中にはがん幹細胞が濃縮されていることが想定されるので、臨床検体との比較検討を行う。また、転移腫瘍の発生が見られれば次のマウスに継代移植を行う。
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Causes of Carryover |
当初の予定よりも遅れたため、次年度使用額が生じた。次年度に細胞培養試薬、マウス購入、次世代シーケンサー試薬を購入するため、残額461,654円を次年度に使用することにしました。
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