2019 Fiscal Year Research-status Report
細胞間接着分子発現抑制を介した脂肪肝虚血再灌流障害機序の解明
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19K18023
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
藤井 武宏 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (00640690)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肝虚血再灌流傷害 / 脂肪肝 / フルクトース / 細胞間接着分子 / カドヘリン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主な目的である、食事性成因による脂肪肝虚血再灌流傷害(IRI)の脆弱性解明のため、まず高脂肪食および高フルクトース食を飼料として飼育したマウスの脂肪肝の評価をコントロールマウスと比較しながら行った。高脂肪食群マウスは、8週間の投与期間で、概ね均一かつ臨床像に即した脂肪肝像を示した。一方、高フルクトース食群マウスは、脂肪肝像に個体差が大きく、当初予定していた5週間の投与期間の調整の必要性が生まれた。また高フルクトース食群のマウスは、脂肪肝を発生したマウスを含めた全マウスに、高脂肪食群マウスでみられるような著明な体重増加を認めず、臨床で見られる非肥満患者脂肪肝に関連した病態を連想させた。 肝IRI実験では、高脂肪食群マウス群は、これまでの当教室の実験結果と矛盾しない肝障害度が各指標より確認された。一方で高フルクトース食群マウスでは、より大きな肝IRIの脆弱性が認められる傾向にはあったが、有意な差としての評価にいたらず、先に述べた個体差が原因していると考えられた。 本研究の第二の目的となる脂肪肝IRIにおける肝細胞間接着分子の役割の解明のため、各脂肪肝モデルにおける安定したIRIモデル確立後の細胞間接着分子の発現評価に必要なタンパク及び遺伝子解析に向け、試薬の至適化作業を並行して行った。Eカドヘリン(Ecad)のウエスタンブロットおよび免疫染色用の抗体の選定および至適濃度の調整を終了し、PCRのプライマーの設計、反応の確認を終了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脂肪肝モデル作成において、高フルクトース食群での脂肪肝発生に、予想以上の個体差が認められ、高脂肪食群との正確な比較検討が行えていない。本研究では同程度の脂肪肝レベルでの各群間の肝IRIの比較を目指しており、高フルクトース食群の至適な脂肪肝作成は避けられず、その後のIRI実験に踏み切ることができていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
高フルクトース食群の至適な脂肪肝作成のため、飼料の投与期間の調整や、飼育方法に改良が必要と考えている。具体的には、飼料投与期間の複数設定や食事のほか飲料水にフルクトースを加えるなどの対応を検討している。 アッセイ的な課題として、障害肝おいて増加すると予想されるEcad fragmentの検出に十分な抗体反応が得られていない問題があるが、抗原タンパクのC末端、N末端に対する抗体反応を考慮した、fragment検出用の抗体選定をすすめ、量的に感度が低下している場合には、ブースター試薬を併用し、評価につなげて行く予定である。
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