2019 Fiscal Year Research-status Report
5アミノレブリン酸によるチェックポイント阻害剤の抗腫瘍効果増強に関する研究
Project/Area Number |
19K18045
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
闕 偉涛 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 移植免疫研究室, 研究員 (30836193)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 癌免疫治療 / チェックポイント / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性腫瘍の環境において、CTL細胞の消耗により、エフェクター機能と増殖能が低下する。 PD-1とそのリガンドPD-L1の相互作用を遮断すると、消耗したT細胞を再び活性化させ、癌の制御を改善できる。一方、 5-アミノレブリン酸(5-ALA)はミトコンドリアでのみ生成される天然アミノ酸が代謝機能に影響を与えることが示されている。鉄イオン(SFC)と5-ALAが腫瘍浸潤性T細胞の代謝サポートを提供する可能性があることを仮定した上、本研究ではまず、抗PD-L1抗体による抗腫瘍(メラノーマ)効果を、 5-ALAの併用で促進し得るかについて検討した。また、そのメカニズムについても解析を行った。 本研究で用いたマウスメラノーマモデルにおいては、PD-L1ブロッキング抗体或いは5-ALA/SFCの単独投与より、両者併用の顕著な抗腫瘍の相乗効果を確認できた。抗PD-L1抗体と5-ALA/SFCの併用で、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を分離精製した上、FCMを用いて解析したところ、CD8陽性T細胞のサイトカイン(IL-2、IFN-g、グランザイムB)の産生能力の増強だけでなく、抗PD-L1抗体群を用いた5-ALA/SFCのT細胞増殖活性マーカーであるKi67も増加した。さらに、活性化T細胞集団(PD-1 + Tim-3-)の数も大幅に増加したことも明らかにした。 以上の結果、5-ALA/SFCが抗PD-1/PD-L1療法と相乗作用して、腫瘍内CTL細胞の抗腫瘍効果を高める可能性があることを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画している初年度の抗PD-L1抗体による抗腫瘍(メラノーマ)効果を、 5-ALAの併用で促進した結果が得られた。また、その作用メカニズムについても一部を解析した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究成果を踏まえ、5-ALAのミトコンドリアの代謝向上や、構造保護を介した機能維持に焦点を絞って、腫瘍環境中のCTL機能維持について解析を進める予定です。
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