2020 Fiscal Year Annual Research Report
5アミノレブリン酸によるチェックポイント阻害剤の抗腫瘍効果増強に関する研究
Project/Area Number |
19K18045
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
闕 偉涛 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 移植免疫研究室, 研究員 (30836193)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | チェックポイント / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリアは重要な細胞質オルガネラです。それらの活性化は、T細胞の増殖と細胞毒性の生成に重要である。疲弊した腫瘍浸潤T細胞は、ミトコンドリアの機能と質量の低下を示す。一方、 5-アミノレブリン酸(5-ALA)はミトコンドリアでのみ生成される天然アミノ酸が代謝機能に影響を与えることがわかっている。ナトリウム鉄イオン(SFC)と5-ALAは、腫瘍浸潤T細胞の代謝サポートする可能性を仮定した。本年度は、抗PD-L1抗体による抗腫瘍(メラノーマ)効果を、 5-ALA/SFCの併用で増強したことで、そのメカニズムについてさらに解析を行った。 マウス(メラノーマ)担癌モデルでは、抗PD-L1抗体或いは5-ALA/SFCの単独投与より、両者併用の顕著な抗腫瘍の相乗効果を確認できた。抗PD-L1抗体と5-ALA/SFCの併用で、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)中のCD8陽性T細胞のサイトカインの産生能力と増殖活性の増強、活性化T細胞数が大幅に増加したことを明らかになった。また、5-ALA/SFCは、酸素消費率、ATP、複合体V発現の増加などのミトコンドリア機能を活性化することを明らかにした。さらに、 Nrf-2、HO-1、Sirt-1、PGC-1αのmRNAおよびSirt-1のタンパク質の発現は、5-ALA/SFCによって増強された。以上の結果、5-ALA/SFCが疲弊T細胞代謝における重要な代謝調節因子である可能性を明らかにした。5-ALA/SFCが抗PD-1/PD-L1抗体免疫療法と相乗作用して腫瘍内腫瘍特異的T細胞の活性を増強する可能性があることを示唆された。この研究成果は、免疫代謝の新しい側面を明らかにしただけでなく、抗PD-1/PD-L1抗体による癌免疫療法を組み合わせた新たな戦略を開発する道を開いたと期待したい。
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