2020 Fiscal Year Research-status Report
短腸症の腸管順応獲得を可能にする消化管ホルモンのコンビネーション治療の開発
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19K18061
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山田 和歌 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 特任助教 (20457659)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 長期絶食 / 腸管粘膜萎縮 / Acyl-ghrelin / Glucagon-like peptide-2 |
Outline of Annual Research Achievements |
大量腸管切除・TPNラットにおけるグレリンおよびGLP-2投与による腸管順応の検証 小児短腸症候群は小児外科領域において管理に難渋する疾患の1つであるが、症例数が限られているため臨床情報からだけではエビデンスが得られにくい。そのため、動物モデルにおける大量腸管切除・術後絶食経静脈栄養管理の検討は極めて重要である。大量切除後の腸管順応については機序がまだ解明されておらず、術後の経腸栄養、成長ホルモン、グルタミン、消化管ホルモンであるglucagon -like peptide-2(GLP-2)などが腸管順応を促進すると報告されている。我々も動物実験でグレリン、GLP-2それぞれの効果は検証してきた。その結果をふまえ、グレリンおよびGLP-2を組み合わせることで、腸管粘膜萎縮を予防し、さらに残存腸管順応を効果的に促進する治療法の確立を目的としている。 まずは長期絶食・TPNラットモデルにおけるグレリンおよびGLP-2投与による小腸粘膜萎縮予防の実験を行った。全身麻酔下に中心静脈カテーテルを挿入し、TPN管理を行った。臨床的に小児短腸症候群の術後は約1年でその予後を決定するので、TPN管理の期間はラットの平均寿命から計算し14日間と設定した。単独投与での結果を鑑み、グレリン、GLP-2を様々な時期、用量で投与し種々の評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は育児休業のため、実験が出来なかった。1年遅れでの開始となっているが、2020年度目標の実験は遂行出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
機序の解明までには至っていないが、腸管粘膜萎縮を予防する作用を示唆する結果がでたため、今後はより臨床に近い短腸症候群モデルを作成し、腸管順応の評価を行う予定である。具体的には、大量腸管切除・TPNラットにおけるグレリンおよびGLP-2投与による腸管順応を検証する。大量腸管切除モデルとして80%短腸ラットモデルを作成する。8 週齢のSD ラットの小腸長は約90cmであるため、小腸のみを大量切除するモデル(トライツ靭帯より5cm 肛側~回腸末端より5cm 口側の間の腸管を切除する)と、中腸領域大量切除モデル(回腸末端から50cm より右半結腸までの腸管を切除する)を作成し、前述の方法で経静脈栄養ルートを挿入する。臨床的に小児短腸症候群の術後は約1 年でその予後を決定するので、術後14 日間のTPN 管理を行い、グレリン、GLP-2 を様々な時期、用量で投与し評価を行う。
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Causes of Carryover |
諸事情により育児休暇を延長し、2019年度中に実験を開始する事が出来なかった。2020年度からは研究を開始し順調に進行しており、2021年度は大量腸管切除・TPNラットにおけるグレリンおよびGLP-2投与による腸管順応を検証し、順調に進めばグレリン及びGLP-2の相互作用の研究まで進めていく。実験に必要なラット購入、飼育費用、グレリン・GLP-2等の購入に充てる予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] 【腸管リハビリテーションUpdate】腸管順応促進ホルモン-ペプチド成長因子を用いた短腸症候群の治療について2020
Author(s)
武藤 充, 加治 建, 矢野 圭輔, 大西 峻, 山田 和歌, Lim DW, 長野 綾香, 松井 まゆ, 松久保 眞, Turner JM, Wales PW, 家入 里志
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Journal Title
The Japanese Journal of SURGICAL METABOLISM and NUTRITION
Volume: 54(6)
Pages: 229~233
DOI
Open Access
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[Journal Article] 腸管関連肝障害:脂肪乳剤2020
Author(s)
加治 建, 大西 峻, 矢野 圭輔, 長野 綾香, 松井 まゆ, 杉田 光士郎, 春松 敏夫, 山田 耕嗣, 山田 和歌, 松久保 眞, 武藤 充, 家入 里志
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Journal Title
The Japanese Journal of SURGICAL METABOLISM and NUTRITION
Volume: 54
Pages: 241~244
DOI
Open Access