2019 Fiscal Year Research-status Report
薬物療法抵抗性乳がんにおける遠隔転移メカニズムの解明と新規分子標的治療薬の開発
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19K18064
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
西川 さや香 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (80781848)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 乳がん / SDPR |
Outline of Annual Research Achievements |
乳がん患者の約30%は術後に遠隔転移をきたして生命に関わるため、遠隔転移メカニズムの解明とその治療成績の向上は喫緊の課題となっている。最近、乳がんの遠隔転移に深く関与する遺伝子のひとつとしてSDPR遺伝子が同定された。このSDPR遺伝子が「がん細胞の血管内外への遊走能を抑制し、がん細胞のアポトーシスを誘導する作用をもつ」ことに着目し、SDPR遺伝子の発現を回復させれば、乳がんの遠隔転移を抑制できるのではないかと考えた。 私たちは当施設で手術を行った乳がん症例を用いて、SDPR遺伝子発現と予後との検討を行った結果、全症例を対象にした解析で、SDPR低発現の患者は予後不良であることが示された。SDPR遺伝子を治療標的とした新規分子標的治療薬の開発を目的に本研究を立案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当院で乳がん手術を施行した臨床検体432例を用い、SDPR遺伝子のmRNA発現と予後との関連について検討を行った。全症例においては、SDPR低発現の患者は有意に予後不良(P=0.03)であることが示された。ホルモン陽性乳がん、HER2陽性乳がん、トリプルネガティブ乳がんなど、乳がんサブタイプ別でも検討を行ったが、いずれのサブタイプにおいてもmRNA発現と予後との関連は認めなかった。単変量解析および多変量解析による検討では、SDPR遺伝子発現は独立した予後因子ではなかった。
SDPR遺伝子のmRNA発現のサブタイプ別の検討に難渋し、当初の計画より遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
乳がん臨床検体を用いた、SDPR遺伝子のタンパク発現と予後の関連性についての検討を行う。Micro tissue arrayを作成し、免疫組織化学染色法にてSDPRタンパク発現を測定し、予後との関連について検討する予定である。合わせて、mRNA発現とタンパク発現の関連等についても検討する予定である。十分な検討を行ったのち、当初の計画通り、乳がん細胞株を用いたin vitro研究を開始する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は少額であり、使用計画に大きな変更はない。
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