2019 Fiscal Year Research-status Report
ALPPSと脱細胞化技術を組み合わせた新規in situ肝再生法の開発
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19K18069
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
黒田 晃平 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (20825400)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脱細胞化 / ALPPS / 生体内 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、効率的な肝臓再生医療を実現するために、近年開発された新術式である 二期的肝切除術(ALPPS)を応用し、体内で肝臓の一部を細胞外骨格の足場構造として利用 する新しい手法を開発することである。脱細胞化とは臓器から細胞をすべて洗浄・除去し、細胞外マトリックス(Extracellular Matrix; ECM)の骨格のみを残す技術である。脱細胞化技術の優れた点として脱細胞化後にも本来のECM構造 が残存するといった特徴がある。生体内で臓器を部分的に脱細胞化する際、大循環への脱細胞化試薬の流出が一つの課題となる。そこで初年度の目標として、ALPPSを応用し脱細胞化試薬の大循環への流出を制御し、豚生体内での部分肝脱細胞化を完了することであった。 ALPPSの応用によって脈管を確保し、細胞洗浄試薬の循環を局所で制御することにより生体内においても肝臓の部分脱細胞化が可能であった。脱細胞化に要した時間は5時間程度であり、脱細胞化された部位には病理学的に細胞成分の残存はほとんど認められなかった。また、免疫染色により脱細胞された部位にはcollagen1やcollagen4、laminin、fibronectinといったECM成分の残存が認められた。しかし、人との解剖学的な構造の違いから一部脈管の確保が困難であるといった点も認められた。今後、再細胞化および再灌流を考えた場合、一部手技の見直しが必要であると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ALPPSを応用することにより、細胞洗浄試薬の循環を局所で制御可能であり、肝臓の部分脱細胞化が可能であった。また細胞の残存は認められず、しっかりと脱細胞化が完了していた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度で得られた結果をもとに生体内脱細胞化手法の確立を目指す。また脱細胞化後に再灌流を実施し、再灌流後の生体への影響、脱細胞化部位への血液由来細胞の浸潤などに関しても検討を進めていく。
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Causes of Carryover |
本年度消耗品購入の端数が生じたため。
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