2021 Fiscal Year Annual Research Report
ALPPSと脱細胞化技術を組み合わせた新規in situ肝再生法の開発
Project/Area Number |
19K18069
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
黒田 晃平 宮崎大学, 農学部, 助教 (20825400)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脱細胞化 / ALPPS / 生体内 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、効率的な肝臓再生医療を実現するために近年開発された新術式である二期的肝切除(ALPPS)を応用し、体内で肝臓の一部を細胞外骨格の足場構造として利用する新しい手法を開発することである。脱細胞化とは、臓器から細胞すべてを洗浄・除去し、細胞外マトリックス(Extracelluar Matrix: ECM)の骨格のみを残す技術である。脱細胞化の優れた点として、脱細胞化後にも本来のECM構造が残存するといった特徴がある。生体内で臓器を部分的に脱細胞化する際、大循環への脱細胞化試薬の流出が一つの課題となる。本年度の目標としては、確保に最も適した血管の検討および、再循環を実施した場合の評価である。 血管の検討の結果、豚の左肝静脈を確保する際に少し肝臓実質を剥離することで肝静脈確実に確保することが可能になり、大循環への試薬の流失を制御しやすくなることがわかった。しかし、肝実質内の静脈は肝外の部位より脆弱であるため、より慎重な主義が必要であった。また左門脈枝の確保もより遠位で行うことにより正確に外側左葉のみを還流可能であった。この結果を踏まえて生体で実験を実施したところ、大循環へ脱細胞化し役の流出を最小限に抑えながら、外側左葉のみを脱細胞化が可能であった。 脱細胞化後の肝臓の脈管を縫合することによって、再循環を実施したところ脈管に沿って血流が再開していく様子が確認された。しかし、循環再開後の病理検査では、抹消に血栓形成が認められた。これは血管内皮細胞が存在しないためであると考えられた。この点は今後、血管内皮細胞の再細胞化などの検討が必要であると思われた。
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