アロ移植片の免疫寛容維持における単球系抑制性細胞の役割

2021 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 19K18070
• Research Institution: Juntendo University
• Principal Investigator: 内田 浩一郎 順天堂大学, 健康総合科学先端研究機構, 准教授 (80648329)
• Project Period (FY): 2019-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: ミエロイド系抑制細胞 / 移植免疫 / 拒絶反応

Outline of Annual Research Achievements

骨髄由来免疫抑制細胞（MDSCs　Myeloid-derived suppressor cells）は担癌状態・感染症などの環境下で誘導される免疫抑制能を有する細胞集団である。MDSCには、単球系と好中球系の細胞集団に大きく分かれ、それぞれの抑制機能を発揮する。今回、骨髄細胞をIL-6とGM-CSFを用いてMDSCを誘導し、マウスアロ心臓移植モデルに移入することで、その抑制効果をグラフト生着期間で評価した。MDSCを移入したマウス群の移植片は、無治療群と比較し、有意にグラフト生着期間を延長させた。　また、誘導したMDSCをLy6C陽性の単球系とLy6G陽性の好中球系に分離し、invitroでその抑制効果を比較した。単球系MDSCは、好中球系と比較して、リンパ球混合試験におけるアロ免疫反応を有意に抑制するとともに、制御性T細胞を効率よく分裂増殖させている特徴を発見した。これらの機能は、iNOS阻害剤を用いると解除され、単球系MDSCの抑制メカニズムにiNOSが関与していることが解明された。骨髄由来免疫抑制細胞MDSC、中でも単球系MDSCは、臓器移植のみならず免疫炎症にか関わる病態に対する新しい細胞治療となりえる。

Research Products

• [Journal Article] Analysis of therapeutic potential of monocytic myeloid-derived suppressor cells in cardiac allotransplantation (2021)
  • Author(s): Fujimoto Keiichi、Uchida Koichiro、Yin Enzhi、Zhu Jun、Kojima Yuko、Uchiyama Masateru、Yamamoto Yasuto、Bashuda Hisashi、Matsumoto Ryu、Tokushige Koji、Harada Masaki、Inomata Takenori、Kitaura Jiro、Murakami Akira、Okumura Ko、Takeda Kazuyoshi
  • Journal Title: Transplant Immunology Volume: 67 Pages: 101405～101405
  • DOI: 10.1016/j.trim.2021.101405
  • Peer Reviewed / Open Access
• [Presentation] マウス同種心臓移植における単球系骨髄由来免疫抑制細胞を用いた治療有効性の解析 (2021)
  • Author(s): 原田昌樹
  • Organizer: 第57回 日本移植学会総会