2019 Fiscal Year Research-status Report
Notchシグナルと食道癌抗癌剤耐性のメカニズムの解明と臨床応用にむけて
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19K18086
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松浦 記大 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (90804477)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 抗癌剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
食道癌の耐性株は食道癌の親株と比較し、EMTが誘導されていることを明らかにした。またこの時Notch3の発現の抑制、ならびに活性の低下を認めた。続いて抗癌剤短期暴露により、Notch3の活性低下によるVimentinの上昇を確認した。つまりEMTが誘導される瞬間を確認し、この過程におけるNotch3の活性低下を確認した。 その後、術前補助化学療法後の手術サンプルの免疫染色を行い、Notch3低下群は抗癌剤感受性は悪く、予後不良であることを確認した。またNotch3低下群はN-cadherinの発現が高いものが有意に多く含まれていた。 ここまで現象の確認を行ったが、Notch3の活性がEMTの誘導や抗癌剤耐性獲得に重要な因子であるかどうかを確認するためにNotch3のノックダウンやover expressionによる検証を行った。 RNA干渉によるNotch3の発現抑制により、EMTの誘導と抗癌剤感受性の悪化を認めたことから、Notch3のEMTにおける重要性が示唆された。またこの時Vimentinの上昇を認めた。 さらにNotch3の活性化させた状態で抗癌剤に暴露すると、EMTの誘導の阻害を認め、抗癌剤感受性が良くなっていた。またこの時Vimentinの低下を認めた。 以上より、Notch3の活性化は抗癌剤投与時に抗癌剤耐性獲得の阻害ができる可能性が示唆された。現在は予定していた実験計画に基づき、EMT誘導後の細胞のNotch3を活性化することでMETの誘導ができるか、動物実験の準備、さらにNotch3とVimentinの関係を検証する準備などを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施計画で予定していた、EMTにおけるNotch3の重要性をin vitroで検証し、臨床サンプルでも同様のことを検証することができていることから概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroにおいて認めた、Notch3とVimentinの相反する動きを深く追求する予定である。Notch3の活性は、細胞膜上に発現したNotch受容体の一部が核内へと移行することで上昇するが、核内へと移行したNotch3が転写因子RBPJを介して直接Vimentinを制御している可能性をChIP-PCRで検討する。加えて、Notch3の活性化による、EMTが誘導された細胞のMETの誘導なども検討する。 in vivoにおいて、Notch3の活性化剤やNotch3 over expression株によるEMTの抑制効果や抗癌剤効果との関連を検討する。
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Causes of Carryover |
実験計画に基づいて、EMTが誘導された細胞のMETの誘導、vivoの実験なども今後行う予定としている。 またChIP-PCRによるNotch3とVimentinの関連を検討することとしている。 以上のことから次年度使用額が発生する。
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