2020 Fiscal Year Annual Research Report
腸管内におけるTim3単独発現細胞-大腸がん新規免疫治療に向けて-
Project/Area Number |
19K18088
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北風 雅敏 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (30835252)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Tim-3単独発現細胞 / 大腸がん / 正常腸管 / 抗腫瘍免疫 / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
【大腸がん正常組織でのTim3単独発現CD8T細胞の頻度解析】大腸がん腫瘍組織/正常組織検体を77例集積し、フローサイトメトリーで解析した。正常組織でのTim3単独発現CD8T細胞頻度は7.1±6.4%であり、同一患者の腫瘍組織(4.1±3.7%)と比較して、有意に高発現していた(P=0.001)。同時期に採取した食道がん患者の正常組織検体では、これら細胞群をほとんど認めなかった(0.5±0.7%)。 【Tim-3単独発現CD8T細胞の機能解析】Tim-3単独発現細胞頻度が10%以上の症例で、細胞内サイトカイン解析を行った。症例の一部で、Tim-3単独発現細胞群が、他の細胞群と比較して、IFN-γ産生能が高い結果であった。しかし、正常腸管におけるTim-3単独発現細胞は、単位組織あたりの細胞数が少ないこと、またPMA・イオノマイシンの刺激後に消失する(死細胞となる)ことから、その他の症例では評価困難であった。現在、新たな評価方法を検討中である。 【Tim3単独発現CD8T細胞の臨床病理学的意義】Tim-3単独発現CD8T細胞頻度と、年齢、性別、腫瘍局在、進行度などの臨床病理学的因子との関連性を解析した結果、年齢低値群において発現量が高い傾向(P=0.082)であったが、その他の因子との関連性は認めなかった。また全生存期間、無増悪生存期間との関連も認めなかった。これら細胞群を更に細分化する必要性を考え、現在cytobankを用いて、Tim-3単独発現細胞を中心に患者予後に関わる免疫学的因子を網羅的に解析している。 【Tim3単独発現CD8T細胞の発生メカニズム解析:腸内細菌の同定】上記の通り、更に細分化した細胞群を同定した後に、それら細胞群を認める症例と認めない症例の保存粘膜を解析対象として、次世代シークエンサーを用い細胞群の誘導にかかわる腸内細菌を同定する予定している。
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