2020 Fiscal Year Annual Research Report
細胞系譜解析を用いたSOX2の大腸癌幹細胞としての役割解明
Project/Area Number |
19K18089
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
池嶋 遼 大阪大学, 医学系研究科, 招へい研究員 (60745397)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Sox2 / 癌幹細胞 / 大腸癌 / シングルセル解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
Sox2 (SRY(sex determiningregion Y)-box2)は未分化マーカーとして知られている。Boumahdiらは近年皮膚癌領域において、Sox2遺伝子のプロモーターの下流に蛍光蛋白GFPを挿入することでSox2発現細胞を緑色に可視化させたSox2-GFPマウスの皮膚に発癌を起こし、GFP発現細胞 (=Sox2陽性細胞) とGFP非発現細胞 (=Sox2陰性細胞) をFlow cytometryで分離して免疫不全マウスの皮下に移植したところ、GFP陽性細胞の方がより少数で腫瘍を形成することを認め、 Sox2が皮膚癌幹細胞マーカーとなることを証明した(Boumahdi S et al. Nature,2014)。本研究ではSox2-GFPマウスを化学発癌させSox2が大腸癌でも癌幹細胞となりうるかどうかについて検討する。更にGFP陽性の癌細胞のシングルセル解析によって、新たな癌幹細胞マーカーを抽出することを目的とした。Sox2-GFPマウスの食道の傍基底層が緑色蛍光を発し、PCRでも同部でのSox2発現が確認されたことからこの系がworkすることを確認した。AzoxymethaneとDextran Sodium Sulfateによって大腸癌を発生させ、腫瘍を単一細胞レベルに解体して、GFP陽性細胞を回収した。単一細胞から遺伝子を抽出・増幅した上で、PCRを行ったところGFP陽性細胞でSox2の発現が確認できた。GFP陽性の腫瘍細胞と陰性の腫瘍細胞とをC1でシングルセル単位で遺伝子増幅し、RNAseqを行い、両者で発現差のある遺伝子セットを確定できた。Sox-2プロモーターにRed proteinを発現させるベクターをHT29細胞に導入すると、非対称性分裂を確認でき、癌幹細胞性との関連が示唆された。Sox2陽性細胞は少数でありマウス皮下の形成はできなかった。
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