2019 Fiscal Year Research-status Report
NKT細胞活性化ベクターを用いた大網内への抗腫瘍免疫誘導による腹膜播種の新規治療
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19K18090
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
有本 聡 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (20778766)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腹膜播種 / NKT細胞 / milky spot / CD8+T細胞 / T細胞疲弊 |
Outline of Annual Research Achievements |
腹膜播種は消化器癌に高頻度に認められる予後不良の転移形式であり、病態解明と治療の確立が求められている。大網上のmilky spot は、腹膜播種の癌細胞の足場形成部であると考えられるが、同時に二次リンパ組織として腹腔内抗腫瘍免疫の活性化の場であるという二面性を持つ。本研究は、milky spotの特徴に着目し、腹膜播種に対する抗腫瘍免疫破綻の機序を解明する。同時に、Natural Killer T(NKT)細胞活性化ワクチンベクターを用いて、抗腫瘍効果を発揮する腫瘍反応性T細胞の誘導による治療を確立し、腹腔内CD8+T細胞の効率的な誘導機構を解明する研究である。 本研究は、皮下接種型腫瘍に対し著効するNKT細胞ワクチンベクター免疫療法に抵抗性を示す難治性腹膜播種に対し、腫瘍反応性T細胞を成立させ、腹膜播種の病態制御を試みる新規癌免疫療法のモデルを確立することが目的である。ますは、ワクチンベクターの作成方法と精度の向上を行うことが第一である。次に、この際に機能する腹腔内CD8+T細胞の誘導機構を明らかにすることである。リンパ組織としてCXCL13を分泌し、CXCR5陽性細胞を誘導することは、この腫瘍反応性T細胞の誘導には欠かせいない条件で、必要条件を満たす。このため、腫瘍反応性腹腔内CD8+T細胞はどのような性質と表現型を持つのか、通常の腫瘍モデルの概念を踏襲しながら、milky spotのリンパ様構造を解析し、病態の解明を試みるものである。腫瘍反応性腹腔内T細胞の解析をこのモデルのみならず、手術時ヒトの腹腔洗浄液を採取して、明らかにすることが必要であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、樹状細胞にOVA蛋白を導入し、α-galactosylceramideを付加したNKT活性化ワクチンベクターであるDC/Gal-OVAを用いた腹膜播種モデルに対する治療効果の検証する。ワクチンベクターの作成に対し、より大量かつ効率的に誘導するEP法の条件設定を進めており、良好な結果を得ている。また、DC/Gal単独群での治療効果を検討し、その際のT細胞の変化を明らかにしており、モデル作成はできている。腹膜播種の程度に関しては、ルシフェラーゼ付加MC38細胞株をI V I Sを用いて行う定量化は可能な状況となっている。現在はMilky spotを採取して、このケモカイン発現につき、検討を行っている。また、腹腔内C D8+T細胞の表現型に関しては、Exhaustionとその分化過程に関連する分子の検索を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
腹腔内CD8+細胞の表現型に関しては、Exhaustion関連分子を調べているが、一定の表現型で細胞数及び割合が変化する分画を認めているために、これをRNAシークエンスと関連分子発現アレイを用いて分子のスクリーニングを行い、どの様な点に違いがあるのかを見極めて、迅速化する予定である。 また、ヒト洗浄腹水研究に関しては、KM-CART患者の採取の際に、検体を採取し、解析を行い、見通しをつけ、研究を迅速化する予定である。
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Research Products
(3 results)