2020 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌腹膜播種におけるがん免疫システムの解明と革新的バイオマーカーの探索
Project/Area Number |
19K18095
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
清住 雄希 熊本大学, 病院, 非常勤診療医師 (30827324)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 胃癌 / 腹膜播種 / PD-1 / PD-L1 / IDO1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、胃癌に対する免疫療法が実用化され、一方で奏効率が不十分であることや腹膜播種症例への治療効果が乏しいことを背景として、胃癌における免疫関連因子の発現パターンや、PD-L1をはじめとした免疫学的因子の空間的、経時的な不均一性に着目することにより、免疫療法の効果予測バイオマーカーの確立とリキッドバイオプシー実用化へ応用することが目的である。 前年度に、空間的な不均一性を評価するため、同一症例における胃癌の生検組織と切除組織のPD-L1発現、原発巣と転移巣におけるPD-L1発現について解析した。腫瘍微小環境におけるPD-L1発現の評価方法として、腫瘍細胞と免疫細胞のPD-L1発現の総合的に評価するCombined Positive Scoreが胃癌において有用であることを示し(Yamashita et al. Gastric Cancer)、これを用いて切除検体と生検検体の腫瘍部位のPD-L1発現を解析したところ、正確な評価には複数回の生検が必要であるという結果が得られ、これを報告した(Yamashita et al. Br J Cancer)。 これらを踏まえ次年度は、経時的な不均一性を解明するために、実臨床を想定し、胃癌細胞株と5FU、CDDP等実際に使用されている殺細胞性抗癌剤を用いた研究を行った。胃癌細胞は殺細胞性抗癌剤への曝露によりPD-L1発現が上昇するという結果が得られ、PD-L1発現上昇に関わる細胞内シグナル経路についても解明、分子標的薬であるTrastuzumabが免疫エフェクター細胞との相互作用を介して抗腫瘍効果を発することが既に報告されていることを踏まえ、HER2陽性胃癌細胞をTrastuzumabに曝露させたところ、PD-L1発現が上昇するという結果が得られた。また、本機序に関わる免疫エフェクター細胞を同定するため、NK細胞や単球を分離し、in vivoで実験を行い、NK細胞の関与が示された。よってこれを報告した(Yamashita et al. Br J Cancer)。
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Research Products
(1 results)