2019 Fiscal Year Research-status Report
血球分泌型細胞外小胞体の消化器癌悪性形質獲得メカニズムの解明と新たな治療戦略
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19K18099
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
有田 智洋 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00756794)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エクソソーム / 赤血球 / 消化器癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
赤血球由来の細胞外小胞体(erythrocyte-derived microvesicles,EDM)は癌細胞に取り込まれることで、悪性形質を変化させている可能性があると考え、癌患者由来EDMを取り込ませた胃癌細胞株、健 常者由来EDMを取り込ませた胃癌細胞株、未処理の胃癌細胞株からRNAを抽出し、マイクロアレイ解析(アジレント社)を行った。癌患者由来EDMの取り込みで発 現が亢進した候補分子について、他の癌患者由来EDMでvalidation studyを行い、同様の変化を認めたRPS15A, EIF1の2分子に注目した。これらはすでに他癌種で early translationや血管新生への関与(RPS15A)やAgo2やmiR-451のbiogenesisに関与(EIF1)することが報告されている。しかしながら、これら2つの分子の変化について、胃癌原発巣で高発現していることが確認できず、EDM中での高発現の理由が不明であった。EDMサンプル自体が非常に貴重なものであるため、この2つの分子に着目した検討は中止とし、今度はこれらの細胞機能的変化に、赤血球中に大量に 含まれるmiRNAが関与しているとの仮説を立て、EDMから抽出したRNAを用いたmicroarray解析(東レ社、3Dgene)を行ったところ、microRNA-3621が健常人に比べ高く発現していた。このmiRを強制発現させた胃癌細胞株の細胞機能アッセイにて、EDM添加による機能アッセイと同様の結果が得られたため、このmicroRNAが胃癌悪性度獲得の原因の一つと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた候補分子の同定には至らなかったものの、多くのターゲットを持つmicroRNAに着目し、EDMとともに細胞内に取り込まれたmiR-3621による細胞形質の変化を確認できた。現在この結果を受けて論文化し投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
EIF1とRPS15Aについて、胃癌原発巣での高発現が確認できなかったものの、 胃癌患者のEDM中に豊富に含まれていることから、この2つの分子に関する検討は今後も継続していく。胃癌の進展に関わる可能性や、バイオマーカーとしての利用価値について検討していく。
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