2020 Fiscal Year Annual Research Report
血球分泌型細胞外小胞体の消化器癌悪性形質獲得メカニズムの解明と新たな治療戦略
Project/Area Number |
19K18099
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
有田 智洋 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00756794)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | microvesicle / 赤血球 / 胃癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
好中球、単球、マクロファージ、血小板など骨髄由来の血球のうち、その最も多くを構成する主成分である赤血球の役割について、完全には解明されていない一方で、癌の進行に深く関与していると報告されている。多くの血球が、細胞外小胞体(extracellular microvesicles; EV)と呼ばれる細胞外小胞を分泌することが知られている。さらに、赤血球由来のEV(erythrocyte-derived microvesicles; EDM)は、いくつかの疾患に関与していることが報告されている。そこで、胃癌の進行に関しEDMの影響を検討することを本研究の目的とした。 胃癌患者または健常人の術前末梢血から得られた赤血球を培地中で24時間培養し、超遠心分離によってEDMを培地から抽出した。 PKH67で蛍光標識したEDMを胃癌細胞株や中皮細胞株に添加したところ、細胞質内に取り込まれることを蛍光顕微鏡によって確認した。 胃癌患者の赤血球由来のEDM(GC EDM)は、健常人のEDM(HV EDM)と比較して、胃癌細胞の遊走能と胃癌細胞の中皮細胞への接着能を促進させることをそれぞれスクラッチassayおよび接着assayにて確認した。EDMには豊富なmicroRNAが含まれていることがわかっており、多くの遺伝子に対し発現を抑制的に調整するため、EDMに内包されるmicroRNAに着目した。microRNAのmicroarrayによる網羅的解析によって、miR-3621がHVEDMよりもGCEDMに豊富に存在することが判明した。 miR-3621 mimicを用いて過剰発現させた胃癌細胞は、自身の遊走能や中皮細胞に対する接着能を促進することが確認された。 結論として、胃癌患者の赤血球から分泌される細胞外小胞体は、胃癌細胞の悪性度を亢進する可能性が示され、そのメカニズムとして、EDMに豊富に存在するmiR-3663が関連している可能性が示された。
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