2022 Fiscal Year Annual Research Report
潰瘍性大腸炎関連大腸癌発生における腸内細菌と代謝産物の関連
Project/Area Number |
19K18102
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石田 隆 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (90573395)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / 腸内細菌 / 発癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、潰瘍性大腸炎関連大腸癌発生における腸内細菌と代謝産物の関連について、マウスモデルを用いて検討し、さらに腸内細菌をターゲットとしたバイオマーカーや治療方法の開発に繋げることを目的とした。 まず、C57Bl/6J(野生型)と、肥満・インスリン抵抗性の2型糖尿病モデルとして知られるKKAyマウスを使用し、アゾキシメタン(AOM) 2.5mg/kgを6-8週齢の両者に腹腔内投与、その後1週間2.5%デキストラン硫酸ナトリウム水を自由飲水させ、その後通常飲水で2週間飼育する3週間を1サイクルとし、これを3サイクル行った後に発がんの状態を確認した。KKAy + AOMは、WT + AOMと比較してマウスあたりの腫瘍数が有意に多かった。 続いて、野生型とKKAyを、以下の2つのモデルを用いて比較し、腸内細菌叢および腫瘍発現の違いを検討した。1)抗生物質カクテルモデルにより、両者の腸内細菌叢をリセットする。2)両者の環境要因の違いを排除するため、同一ゲージで飼育する。腸内細菌叢の分布は、T-RFLP分析によりスクリーニングし、さらにクラスター樹状図と主成分分析(PCA)を実行した。結果、1)抗生物質モデル、2)共同飼育モデルのいずれも、KKAyはC57Bl / 6Jに対して、有意に多くの腫瘍発現を認めた。腸内細菌叢は、抗生物質モデル・共同飼育モデルの両方で変化したことが確認されたが、腫瘍の発生についての違いは観察されず、今回の実験では、肥満関連の大腸腫瘍の腫瘍形成に対する腸内細菌の影響を証明することはできなかった。以上の結果を、当教室から論文報告した。 今後は、さらに別のモデルマウス(小腸・大腸の多発腫瘍モデルマウスであるAPC min/+マウスなど)を用い、便中の腸内細菌及び代謝産物の解析を進めることを検討する。
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