2019 Fiscal Year Research-status Report
大腸粘液層のバリア機能破綻に着目した炎症性発癌に関与する腸内細菌叢の解明
Project/Area Number |
19K18105
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
田島 陽介 藤田医科大学, 医学部, 講師 (30757505)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腸内細菌叢 / 大腸癌 / 16S rRNA解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、大腸粘液層のバリア機能破綻に着目した炎症性発癌に関与する腸内細菌叢を同定することである。ヒト大腸癌検体30例(炎症性発癌大腸癌症例10例、右側散発性大腸癌症例10例、左側散発性大腸癌症例10例)を目標として、大腸癌部・非癌部の16S rRNA遺伝子解析、カルノア固定標本の作製、大腸癌患者の便細菌叢解析を行う予定としている。 大腸粘膜表面には粘液層が存在し、粘液層は腸内細菌叢が定着する外粘液層と通常無菌に保たれる内粘液層に分かれる。本研究では、粘液層バリアの破綻により内粘液層や粘膜表面に侵入した腸内細菌が炎症を惹起して発癌をもたらす可能性に着目した。同仮説を検証するため、検体表面を生理食塩水で洗浄することにより粘膜上の外粘液層を除去した上で検体を採取し、本来無菌であるはずの内粘液層や粘膜表面に侵入した腸内細菌群を同定することを目的とする。その結果、炎症性発癌に関連する特定の細菌を同定し、同細菌の除菌による大腸癌発癌予防・癌進行予防につながることを期待する。また、大腸癌部細菌叢と便細菌叢との関連を検索することにより、大腸癌の早期発見につながることを期待する。 2019年度前半に検体の採取法・処理法・保存法について検討を重ねた。実際に洗浄前後の検体のカルノア固定標本を作製し、外粘液層が洗浄により除去されることを確認した。また、処理遅延による細菌増殖が解析結果にもたらす影響を最小限に抑えるため、手術中標本摘出直後に検体の洗浄・採取・冷凍保存を行うプロトコールを確立した。 2019年度は3例の検体採取を行った。カルノア固定・便細菌叢解析はすでに完了し、今後大腸癌部・非癌部検体の16S rRNA解析を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検体採取のプロトコールを確立し、すでに検体採取を開始できている。 2019年度前半に検体の採取法・処理法・保存法について検討を重ねた。実際に洗浄前後の検体のカルノア固定標本を作製し、外粘液層が洗浄により除去されることを確認した。また、処理遅延による細菌増殖が解析結果にもたらす影響を最小限に抑えるため、手術中標本摘出直後に検体の洗浄・採取・冷凍保存を行うプロトコールを確立した。2019年度は2月から3月にかけて3例の検体採取を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り検体採取・細菌叢解析を進めていく。また、解析結果をもとに研究結果の学会発表・論文作成を行う予定である。 具体的には、2020年度で30例の検体採取を完了し、2021年度前半で便細菌叢・癌部非癌部細菌叢の16S rRNA遺伝子解析を完了し、2021年度後半で学会発表・論文作成を行う予定である。
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Causes of Carryover |
実際の16Sr RNA遺伝子解析は予定通り順調に進んでいるが、16S rRNA遺伝子解析の費用請求が複数検体をまとめての請求となり、請求自体が次年度に持ち越されたため、次年度使用額が生じた。 2020年度で16S rRNA遺伝子解析は目標の30例を完了する予定であり、次年度使用額は同年度で使用される見込みであり、計画は順調と判断できる。
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