2020 Fiscal Year Research-status Report
大腸粘液層のバリア機能破綻に着目した炎症性発癌に関与する腸内細菌叢の解明
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19K18105
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
田島 陽介 藤田医科大学, 医学部, 講師 (30757505)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大腸癌 / 細菌叢 / 炎症性発癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的である「大腸粘液層のバリア機能破綻に着目した炎症性発癌に関与する腸内細菌叢を同定すること」に向けて、2020年度は計20症例の大腸癌部および非癌部粘膜の組織サンプルおよび便サンプルを採取した。20例の内訳は通常型左側大腸癌10例、通常型右側大腸癌8例、潰瘍性大腸炎炎症性発癌1例、家族性大腸腺腫症1例であった。サンプル採取時に外粘液層の除去が適切に行われたかどうかを評価するため、各サンプルにおいてカルノア固定標本を作製した。各サンプルに含まれる細菌叢の同定のため16s rRNA遺伝子解析を行い、細菌叢アバンダンスのデータが得られた。また、各症例について食事内容および排便習慣を含めた生活習慣についてのアンケートを行いデータが得られた。また、一般的な血液検査・画像検査・病理検査・周術期のデータについても集積を行った。細菌叢アバンダンスデータはヒートマップやPCoA解析等で多角的に解析を行っている途中であり、各種臨床的データとの関連は注目すべき点である。また、サンプル採取前に洗浄による外粘液層除去を行う点は今までの報告に無い視点であり、洗浄を行うことで発癌や癌進展に真に関わる細菌叢が抽出される可能性がある点も注目すべき点である。発癌や癌進展に関わる細菌叢が抽出されることで、将来的に除菌あるいは細菌叢バランスの改善による癌進展予防や発癌予防が安全に安価に行われる可能性を見出すことができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は概ね計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在まで得られたデータをもとに今後統計学的解析を行う。細菌叢データと各種臨床データとの関連を明らかにし、学会発表・論文発表を行う。
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Causes of Carryover |
サンプルが当初の予定より早く集めることができた影響で、当初の2020年度予算ではサンプルの16S rRNA解析費用を全額支払うことが困難であった。そのため、2021年度の予算を一部前倒しして使用した。結果として2021年度は253740円の使用額を得られたが、学会発表・論文投稿費用に主に使用する予定である。
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