2019 Fiscal Year Research-status Report
Ascites proteomics reveal the mechanism of pancreatic cancer peritoneal dissemination
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19K18107
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高舘 達之 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 助教 (50772216)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 膵癌 / プロテオミクス / 腹膜播種 / 腹水 |
Outline of Annual Research Achievements |
診断、治療ともに困難で予後不良な膵癌であるが、そのなかでも腹膜播種症例は特に予後不良である。しかし近年の化学療法の進歩により、腹膜播種が消失し、手術可能となる症例も経験するようになってきた。そこで膵癌の腹水を用いたプロテオミクスから、腹膜播種のメカニズムを説き明かすこと、また化学療法の効果や予後予測のバイオマーカー探索を目的として、研究を行っている。 膵癌症例の多くは診断時に切除不能であり、手術に至る症例は限られている。また運良く手術に至ったとしても、実際には進行癌であることが判明し、試験開腹になる症例が多かった。近年そのような試験開腹となる症例を減らすために、審査腹腔鏡の有用性が報告されている。当科では全国でも珍しく、膵癌症例のほとんどに審査腹腔鏡を行ったうえで、適切な治療方針の検討を行っている。そのため手術可能な早期症例のみならず、ある程度進行した症例の腹水や洗浄細胞診も採取可能である。診断に用いた後は、研究のために腹水のサンプルを保管している。 審査腹腔鏡の有用性や、審査腹腔鏡で転移陽性であった症例の特徴など、臨床背景も平行して検討しており、この研究の重要性を裏付けるための論文を執筆し、現在投稿中である。また膵癌の腹水中で検出できる可能性のある、膵癌の悪性度のバイオマーカー候補であるヘモペキシンに関する論文も投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対象症例は十分な数があり、審査腹腔鏡も順調に症例を重ね、洗浄細胞診のサンプルは集まっている。しかし本研究で用いたい腹水貯留の症例が、当初想定していたよりも多くなく、サンプルの集積に難渋している。
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Strategy for Future Research Activity |
腹水サンプルの集積を継続し、プロテオーム解析を行う。 腹水貯留症例が集まらない場合は、洗浄細胞診のサンプルで行うことも検討する。その場合、検出されるタンパク質の量が少なく、検討ができない可能性がある。 プロテオーム解析により候補タンパク質を抽出し、膵癌組織での免疫組織科学により、分泌部位を評価する。
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Causes of Carryover |
サンプル収集が予定より滞り、実際の解析がまだ行われていない。 論文を2本投稿し、英文校正費や、投稿費に使用する予定であったが、年度内にAcceptに至らず、請求できなかった。 次年度には解析用の備品や、論文投稿費、学会の旅費で使用する予定である。
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