2020 Fiscal Year Annual Research Report
新規創薬に向けたN6-メチルアデノシトシン修飾の肝細胞癌における意義の解明
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19K18110
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
園原 史訓 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (30745534)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / N6メチルアデノシトシン / ALKBH5 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝細胞癌(HCC)では腫瘍の悪性度に加え,発生母地としての背景肝の分子生物学的異常もHCC再発に関わるため、本研究ではRNAメチル化で最もよく見られるN6メチルアデノシトシン (m6A)およびその関連遺伝子についてHCC腫瘍部と非腫瘍部における発現状況の違いと臨床的意義について検討した. 当科のHCC症例はHBV 41例(23%),HCV 106例(60%),非BCが30例(17%)だった.切除標本の腫瘍部・非腫瘍部で全RNAにおける m6A定量解析では有意差を認めなかった(P=0.79).予後解析の結果,非腫瘍部のm6Aメチル化高低と予後に関連を認めなかったが,腫瘍部のm6Aメチル化高値は予後不良なRFSとOSに関係していた. TCGAの遺伝子発現情報を用い,m6Aに関連する遺伝子の発現状況を調査した.m6Aの脱メチル化酵素であるFTOとALKBH5は非腫瘍部と比較して腫瘍部で有意に発現が低下していた(P<0.001, P=0.02).さらに,ALKBH5の発現低値群は有意差はないものの,RFSが不良な傾向だった. 当科のHCCの腫瘍部,非腫瘍部での遺伝子発現を定量PCRで解析すると,ALKBH5,FTOともに腫瘍部で有意に発現が低かった(ともにP<0.001).ALKBH5発現について予後解析を行うと,腫瘍部の発現低値群のRFSは有意に不良だった(P=0.003).さらに非腫瘍部の発現低値群は高値群に比べて有意に予後不良なRFSであり, OSでも有意差は認めないものの,予後不良の傾向だった.ALKBH5の高低で臨床病理学的所見を比較すると年齢65歳未満,とステージIII以上の割合がALKBH5低発現群で有意に高かった.さらに,Cox比例ハザードモデルによる単変量/多変量解析では非腫瘍部のALKBH5発現低値は静脈浸潤と並び,独立した有意な予後因子として抽出された.
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[Journal Article] Novel Prognostic Implications of Methylated RNA and Demethylases in Resected HCC and Background Liver Tissue2020
Author(s)
Nobuhiko Nakagawa, Katsuhito Tanaka, Fuminori Sonohara, Raju Kandimalla, Yuki Sunagawa, Yoshikuni Inokawa, Hideki Takami, Masamichi Hayashi, Suguru Yamada, Mitsuro Kanda, Chie Tanaka, Goro Nakayama, Masahiko Koike, Yasuhiro Kodera
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Journal Title
Anticancer research
Volume: 40
Pages: 6665-6676
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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