2022 Fiscal Year Annual Research Report
生体肝移植術後の血栓性微小血管障害症の病態解明とグラフト肝機能の改善を目指して
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19K18111
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
種村 彰洋 三重大学, 医学系研究科, 講師 (80626242)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肝虚血再灌流障害 / 抗凝固療法 / Xa阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年、マウス肝臓IRIモデルにおいて、遺伝子組み換えADAMTS13を静注投与し、肝障害を軽減できる効果を検討したものの、予想に反して有効な肝保護作用は確認できなかった。そこで、同じく抗凝固因子の1つである、Xa阻害薬であるエドキサバン投与による効果を検討した。 エドキサバンを経口投与し、60分後にマウス肝の70%の肝を60分間クランプするモデルを作成し、薬剤を投与しないコントロールと比較検討した。肝逸脱酵素(AST, ALT)を測定したところ、コントロール群、投与群でそれぞれAST: 4613 (3303-5452), 572 (379-701) IU/L (p=0.002)、ALT: 2087 (1676-2718), 313 (170-375) IU/L (p=0.002)であり、有意な肝逸脱酵素の減少が得られた。肝組織を比較検討したところ、コントロール群では類洞の鬱血、肝細胞癌の変性、壊死などがグリソン領域、中心静脈領域にみられたものの、投与群ではそれらの組織学的肝障害が軽度であった。肝組織における抗凝固作用を評価するため、Western blot解析により組織中のフィブリンを測定した。コントロール群に比べ、投与群では有意にフィブリン形成が抑制されていた (0.95 (0.43-1.36) vs 0.28 (0.25-0.36), p=0.026)。抗炎症作用も評価するため、炎症性サイトカインとして血中のTNF-α、IL-6を測定した。コントロール群、投与群でそれぞれ、TNF-α/β-actin: 1.2 (0.8-1.3), 0.2 (0.1-0.2) (p=0.002)、IL-6/β-actin: 0.43 (0.18-1.66), 0.09 (0.07-0.15) (p=0.041)であり、投与群で有意に炎症性サイトカインの減少が得られた。
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