2020 Fiscal Year Annual Research Report
食道癌に対する変異p53機能回復薬を併用した新規複合化学療法の開発
Project/Area Number |
19K18118
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 照之 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (70779751)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 食道扁平上皮癌 / APR-246 / p53 / p73 / Noxa |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では, 高率にp53遺伝子変異を有する食道扁平上皮癌に対して, 変異p53機能を回復させることで(p53機能回復薬はAPR-246を使用)化学療法に対する抵抗性を改善できるか, また併用効果に優れる抗癌剤の同定など作用メカニズムを含めて検証し, 最終的に臨床応用につなげることを目的とした。食道扁平上皮癌細胞株を用いて,APR-246と5-フルオロウラシル/シスプラチン/ドセタキセルとの併用効果をisobologram法にて評価し, 併用に関しては5-フルオロウラシルが併用効果が高いこと, さらに併用によってアポトーシス作用が増強されることが分かった。ただし, 既存の報告通りp53野生株やp53ナンセンス・フレームシフト変異株はそれらの効果がみられないことが分かった。作用機序に関しては, p53ファミリー(p53, p63, p73)とp53関連シグナルを単剤治療と抗癌剤併用によって変化がみられるかをWestern blotを用いて検索した。p53ファミリーではp73の発現が上昇すること, p53関連シグナルの中ではNoxaが強く増強することが分かった。さらに抗腫瘍効果に関しては, 食道扁平上皮癌細胞株を用いた皮下腫瘍モデルマウス(食道癌細胞株TE8 KYSE410を用いて)で確認したところ, in vitroの結果と同様に, p53ミスセンス変異株(TE8)の皮下腫瘍モデルにおいてAPR-246の抗腫瘍効果が強くみられ, 5-フルオロウラシルにて増強された。シグナル解析においても, p53ミスセンス変異株(TE8)においてTUNEL assayにてAPR-246単剤にてアポトーシス増強がみられ, 5-フルオロウラシル併用ではさらにアポトーシスが増強された。Western blotによるシグナル解析では, p53ミスセンス変異株(TE8)においてp73の発現が上昇すること, p53関連シグナルの中ではNoxaが強く増強することが分かった。さらに, 臨床サンプル(p53ミスセンス変異)を用いたPDX(Patient derived xenograft)モデルを使用してその機序を確認したところ同様の結果が得られた。
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