2021 Fiscal Year Research-status Report
肝内胆管癌のエピジェネティクス解析による新規バイオマーカーと治療標的分子の探索
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19K18121
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉田 一博 岡山大学, 大学病院, 助教 (60824761)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肝内胆管癌 / 制御性T細胞 / 腫瘍免疫環境 / pre-metastatic niche / リンパ節転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝内胆管癌におけるエピジェネティック解析を腫瘍免疫環境に応用するべく、公的データベースを用いたバイオインフォマティクス解析と免疫染色法を用いて、肝内胆管癌の腫瘍免疫環境について明らかにした。 肝内胆管癌の原発巣では、細胞障害性T細胞と制御性T細胞が集まり、免疫チェックポイント分子の発現は多くはなかった。また、細胞障害性T細胞と制御性T細胞の比率をみてみてると、制御性T細胞の割合が多くなるほど、切除後の肝内胆管癌の予後が不良となることが明らかとなった。 当院では、肝内胆管癌に対して積極的にリンパ節郭清を行っていることから、原発巣、リンパ節転移のない郭清リンパ節、リンパ節転移のある郭清リンパ節の免疫環境についても比較検討した。すると、リンパ節転移のあるリンパ節では、原発巣の制御性T細胞/細胞障害性T細胞の比率が高く、より強い抑制性の免疫環境が誘導されていることが明らかとなった。さらに、リンパ節転移の有無で郭清されたリンパ節の免疫環境を検証すると、転移のあるリンパ節で制御性T細胞/細胞障害性T細胞の比率が高く、腫瘍が転移を起こす前から抑制性の免疫環境が誘導され、転移が促進されている可能性が示唆された。こうした結果は、肝内胆管癌における免疫環境が、腫瘍進展や再発予測、治療標的となる可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記研究結果を、British journal of cancerに論文投稿し、2022/4/28に公式に論文が採択された。当初のエピジェネティック解析、遺伝子発現解析と免疫環境との関連性については今後の検討課題として、ある程度のまとまった研究結果を形とすることができたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、今回得た知見を基に、肝内胆管癌に制御性T細胞が集まるメカニズムを解明していく。そこで、腫瘍内に発現する遺伝子と腫瘍抗原性について検証していく予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定と比較し、試薬に用いる費用が少なくなったことに加え、論文投稿の時点で追加実験および論文投稿料を考慮する必要があったため、次年度使用額が生じた。 今後は、論文投稿・掲載と追加実験に使用する。
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