2019 Fiscal Year Research-status Report
網羅的遺伝子解析に基づいた、DKK2を標的とした胆管癌治療の有効性の検討
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19K18124
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中川 茂樹 熊本大学, 病院, 非常勤診療医師 (10594872)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 胆管癌 / DKK2 / 細胞周期 / 抗癌剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
網羅的遺伝子発現データを用いた治療ターゲットの検索 今回我々は、胆管癌における分子標的治療の治療標的を検索する為にTCGA(The Cancer Genome Atlas)の遺伝子発現データを用いて網羅的な解析を行った。胆管癌の予後及び再発と強く相関する遺伝子を検索したところ、DKK2(dickkopf WNT signaling pathway inhibitor 2)が予後及び根治切除術後の再発率共に強く相関する事が明らかとなった。
網羅的な遺伝子発現データを用いた治療標的としてのDKK2の同定とin silicoにおける機能解析胆管癌における薬物治療標的として有用な遺伝子を検索するため、TCGAから胆管癌症例の癌部のマイクロアレイデータベースを用いて検討を行った。TCGAの胆管癌症例約50例において、cox比例ハザードモデルにより再発に対するハザード比が3.0よりも大きい遺伝子を選び、この内ハザード比が最も高い(HR: 3.48)DKK2を選択し、治療標的としての有用性を検討する事とした。同TCGAのデータベース及び、当科にて利用可能である複数のマイクロアレイデータベースのコホートを用いて、DKK2を相関の高いpathwayや、免疫細胞の相関をin siicoにおいて解析した所、再発及び全生存率との有意な相関を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回我々は、胆管癌における分子標的治療の治療標的を検索する為にTCGA(The Cancer Genome Atlas)の遺伝子発現データを用いて網羅的な解析を行った。胆管癌の予後及び再発と強く相関する遺伝子を検索したところ、DKK2(dickkopf WNT signaling pathway inhibitor 2)が予後及び根治切除術後の再発率共に強く相関する事が明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト検体におけるDDK2発現と再発・予後及び臨床病理学的因子との相関の検討 当科保有の臨床検体及びデータベースを用いて、臨床検体におけるDDK2の機能的な発現意義及び、予後予測因子としての有用性を明らかにする。熊本大学医学部、消化器外科にて2000年~2014年に肝外・肝内胆管癌に対して根治切除を施行された約300症例を用いて、定量PCR及び免疫染色にてRNAレベル、蛋白レベルのDDK2発現を確認する。生命予後や再発等との相関関係を明らかにすると共に、CD8陽性リンパ球やPD-1発現との相関を検討する。
胆管癌細胞株を用いたDKK2の機能解析及びDKK2阻害剤の効果検証 胆管癌細胞株を用いたin vitro/in vivoの実験によって、DKK2の癌細胞における働きを明らかにする。当科にて保有している8種類の胆管癌細胞株に対して、DKK2発現プラスミドベクターを導入しDKK2強制発現を、DKK2を標的としたsiRNAを用いて発現抑制を行った細胞株を作成し、機能解析を行う。MTT assay にて増殖能。FACSを用いて細胞周期及びアポトーシス、invasion assayにて浸潤能、scratch assayにて遊走能に与える影響を明らかにする(図4)。更に、癌細胞より分泌されたDKK2の働きを検証する為に癌細胞と免疫細胞の共培養を行いDKK2がリンパ球に対して与える影響を明らかにする
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Causes of Carryover |
理由:医局内保管の試薬、消耗品を使用することができたため。 使用計画:主に実験試薬、消耗品の購入に充てたいと考える。また、実験データの管理、資料整理等のため事務補佐員の雇用経費にも充てたい。
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