2019 Fiscal Year Research-status Report
ユビキチン修飾系を標的とした新規食道癌治療法の臨床導入を目的とした研究
Project/Area Number |
19K18128
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
國重 智裕 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (70745801)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ユビキチンプロテアソームシステム / E3ユビキチンリガーゼ / RBX1 / 食道癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
RING box protein-1(RBX1)はSCFユビキチンリガーゼの構成タンパクの一つである。ユビキチンプロテアソームシステムは様々なシグナルパスウェイや細胞周期を調節していることが報告されているが、近年SCFユビキチンリガーゼの機能障害が癌を含めたさまざまな疾患の原因となっていることが判明している。RBX1は肺癌や乳癌、肝癌、胃癌において過剰発現しており、予後と相関することが報告されている。しかしながら食道癌に関してはRBX1との関係性についての報告は少なく、RBX1発現の食道癌における予後との関係性と増殖における役割について検討を行った。 術前無治療の食道摘出標本を免疫染色にてRBX1過剰発現群と低発現群に分け臨床データを用いて検討を行ったところ、RBX1過剰発現群は5年生存率・無再発生存率において低発現群に比べ低率であり、RBX1発現率は腫瘍の大きさ・深達度・リンパ節転移・脈管侵襲と有意に関連していることがわかった。また多変量解析によりRBX1高発現は独立した予後予測因子であった。 次に、ヒト食道癌細胞株TE-1とTE-6を用いて食道癌細胞増殖能アッセイを行った。RBX1 siRNAを用いてRBX1をノックダウンしたところ、TE-1・TE-6ともに有意に増殖が抑制されることがわかった。さらにRBX1をノックダウンした細胞を用いて細胞周期を解析したところG2/M期にてアレストしている細胞がTE-1・TE-6ともに増加していることが判明した。 今年度は、RBX1と化学療法感受性における関係性について検討を行う。さらに近年は術前化学療法後の根治切除がStageIIとStageIII食道癌においては標準治療となっていることから、術前加療後の摘出標本を用いてRBX1発現と予後との関係性について検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の研究計画書通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、RBX1と化学療法感受性における関係性について検討を行う。抗癌剤とsiRNAを併用することによる抑制効果の変化を増殖アッセイにて検討する。 さらに近年は術前化学療法後の根治切除がStageIIとStageIII食道癌においては標準治療となっていることから、術前化学療法後の摘出標本を用いて、免疫染色にてRBX1発現率と予後との関係性について検討を行う予定である。また、RBX1発現率と化学療法の効果判定との関連性についても検証を行う予定である。
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