2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of the new biomarker in the early diagnosis of bacterial infection after gastroenterological surgery
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19K18134
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
今井 義朗 大阪医科大学, 医学部, 助教 (60734415)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | プレセプシン / キマーゼ / 周術期感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
消化器癌手術において術後感染症の迅速な診断対応は、必要不可欠である。近年、手術患者の高齢化が進み、併存疾患を有する患者も多い。術後感染症の発見が遅延すると、敗血症など重篤な合併症に陥ることが懸念される。しかし高齢者は訴えが不明瞭であることや、周術期疼痛管理が進歩し、疼痛・発熱などの身体所見が表在化しないなどの問題があり、術後周術期感染症の早期発見は必ずしも容易ではない。既存の指標であるCRPやPCTは、感染早期には上昇を認めない事や、術後早期には手術侵襲に対する生体反応により上昇するなど特異性にかける。また指標の陰性化が鋭敏でないため、陰性化するまで入院期間が延長するなど臨床上問題となることが多い。 本研究では、上記課題を解決のため、消化器癌手術における術後感染症の存在を示唆する新規バイオマーカーを探索し、より効率的な判定法および、重症度推定法を確立する。探索する候補対象としてプレセプシン(以下、P-SEP)と、キマーゼを選定し臨む。P-SEPは敗血症の新規バイオマーカーとして注目されているが、術後感染症としての報告は少ない。またキマーゼは肥満細胞顆粒球中に存在する酵素で、炎症などの刺激時に脱顆粒・活性化され酵素機能を発揮する。研究代表者は先行研究で、劇症肝炎モデルにおいて、感染の超急性期に肝臓中のキマーゼ活性が上昇する事を見出し、キマーゼが術後感染症の新規指標と成り得る可能性を検討するべく探索候補として選定した。胃癌、食道癌術後の患者の術前・術後・術直後・術後1日目・3日目・5日目・7日目・9日目に通常の採血検査に加えてP-SEP、キマーゼを測定して経時的変化を追う事にした。現時点で胃癌50例、食道癌10例、600検体を採取した。更に症例を集め解析する方針である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当院倫理委員会に本研究の倫理申請を行い、倫理委員会より承認を貰ったのが2019年9月末であるため、そこからの症例登録となっているが、順調に症例ならびに検体採取をできている。プレセプシンは測定器械もレンタルでき適時測定できている。キマーゼは検体(全血)そのものを遠心分離して血漿を-35度で保存している。一括で測定する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
胃癌、食道癌術後の患者の術前・術後・術直後・術後1日目・3日目・5日目・7日目・9日目の血液検査施行時に、P-SEP、キマーゼを追加し経時的評価を行う。最も効果的なマーカーの組み合わせを検討する。 術後感染が疑われた際は、他の検査項目と共にP-SEP、キマーゼを測定する。感染の有無に関しては、各種培養結果、画像所見で最終判断を行う。合併症発生時にSOFAスコア、APACHEIIスコア、Clavien-Dindo分類を評価し、P-SEP、キマーゼ、PCT値との相関関係を検討して重症度評価における有用性を検討する。 術後経過をSOFAスコア、APACHEIIスコア、体温で評価し、P-SEP、キマーゼ、PCT値の陰性化時期との相関関係を検討する。以上より、最も有用な指標をマッチングさせる。
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Causes of Carryover |
プレセプシン測定に際し、LSIメディエンスと研究契約書を結び、測定装置のパスファーストをレンタルすることができた。P-SEP試薬は2箱購入し、残りの試薬は研究用として提供されたため、次年度使用額が生じた。次年度はP-SEPならびにキマーゼを測定するため、その費用に使用する予定である。
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