2020 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト膵癌3Dオルガノイドバイオバンクの構築と膵癌特異的糖鎖の探索
Project/Area Number |
19K18139
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大和田 洋平 筑波大学, 医学医療系, 助教 (00819584)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 3Dオルガノイド / バイオバンク |
Outline of Annual Research Achievements |
3Dオルガノイド培養はSatoらが腸管上皮幹細胞培養技術(腸管オルガノイド培養)を開発して以降(Sato T et al, Nature. 2009)、従来の2D平面培養系、異種移植モデルにかわる新たな培養法として期待されている。一方、膵癌3Dオルガノイドでは培地などの培養条件に依存したselectionにより、患者本来のheterogeneityが失われている可能性があり(Shroyer et al, Cell Stem Cell 2016)、培養方法の改良が必要と考えた。 オルガノイドは培地に含まれるniche factor依存性に増殖、形態学的変化を起こす事が知られており、培地の改良を検討した。まず当研究室における膵切除検体を用いて、ライブラリーを作成、遺伝子変異、発現、糖鎖発現を網羅的に解析し各細胞集団のプロファイリングを行う。同時に初代培養から様々な因子を培地に添加し、増殖性、形態学的変化を観察する。因子の添加群、未添加群における遺伝子発現、糖鎖発現を比較検討し、因子が培養に与える影響を考察する。 2020年4月27日から2021年1月18日までに計41症例の膵切除検体(膵癌25例、膵嚢胞性疾患11例、膵神経内分泌腫瘍4例、十二指腸乳頭部癌1例、胆管癌1例)から計23種類のオルガノイド樹立に成功、膵癌では樹立成功率76%(19/25例)と既報と同程度であり(Tiriac H et al, Cancer Discovery 2018)、安定したオルガノイド培養に成功した。これらの検体を冷凍保存するオルガノイドバンクの構築を果たし、更なる症例蓄積と共に、現在各分子プロファイリングを解析中である。また樹立当初から培地に因子Aを添加し、1例において同一患者から複数種類の細胞群を抽出が可能であった。因子Aが膵癌細胞に与える影響を現在次世代シーケンスで解析中である。
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